「レディ・ガイ」
久しぶりのウォルター・ヒル監督作品でしたが、かつてのキレはなく、ひたすら説明シーンだけが目立つB級アクションテイストの作品でした。
顔面に包帯を巻かれた人物のアップから映画が始まる。少し時間が遡り、ヤク中の男がピンボールをしている所へ、殺し屋フランクがやって来て射殺。
一人の女医ジェーンが拘束され尋問されている。弟を殺されたので、殺した男フランクに復讐したのだと言う。手術室で撃たれた彼女は拘束されたのだ。彼女は、弟を殺した殺し屋フランクに性転換手術をして女にしたのだ。
一方時間が戻り、フランクが、請け負った仕事の依頼人に拉致されるシーンが続く。そして、彼はジェーン医師に手術される。目がさめると女の姿になっていて驚くフランク。そして、自分をそういう姿にした医師への復讐に立ち上がる。
映画はジェーン医師が取り調べられて、フランクにした事を自白して行く下りと、フランクが復讐するために行動していくくだりが交互に描かれていくが、それぞれが説明シーン中心で、しまいに疲れてくる。
結局、フランクはジェーン医師にたどり着き復讐を遂げるが、全てはジェーン医師の作り話ではないのかと言う担当の精神科医の説明、そして、指を切られてしまったジェーン医師のカットでエンディング。
なんとも言えないアクション映画で、時折入るアニメのカットがいかにもB級テイスト満載である。ウォルター・ヒル監督作品としては凡作の一本という感じでした。
「千姫御殿」
今となっては作られることもなくなった時代劇大作という貫禄の一本。完全な山本富士子のスター映画ですが、流石にこの時期のこの手の映画はしっかりと仕上がっているから素晴らしい。監督は三隅研次である。
千姫が住まいする吉田御殿。毎夜、千姫に招待を受けた男たちが千姫に弄ばれた挙句殺されるという風評が流れている。しかし、その真相は、千姫に恨みを抱く女の策略であった。という物語で、千姫が出家する直前の、史実とフィクションを交えた恋物語である。
2枚目の侍が登場し、チャンバラシーンが繰り返され、山本富士子のアップが所狭しと画面を埋めるが、ストーリー展開は決しておろそかにしないところは、映画全盛期の力量であろう。
決して名作とかではないものの、贅沢なひと時を味わって劇場を出ることができました。これが映画ですね。