「喰べた人」「Complexe=微熱の瑠璃あるいは悲しい饒舌ワルツに乗って葬列の散歩道」「EMOTION=伝説の午後・いつか見たドラキュラ」
大林宣彦監督色の自主映画三本をみる。若さ、そして映画青年の息吹を感じる三本でした。
ひたすら食べる人を撮りながら、やがて幻想の世界へ誘い、不思議な映像の果てにエンディングを迎える。
あるいは実験映画的にひたすらフィルムがつぎはぎされていく。
また、ストップモーション、逆回し、スローモーションなどフィルムカメラで遊びきったテクニックやら、てんこ盛りの物語を詰め込んだりというまるでおもちゃとしてカメラを持った子供のような映像が所狭しと展開する。
かつて、自主映画育ちのカメラ少年たちはみんなこれと似通った遊びを繰り返した。その中から、一部、秀でた感性の持ち主、あるいはチャンスを掴んだ人が第一線に飛び出して行き、映画ファンの憧れになっていく。これが映画づくりの原点と呼べる作品に出会った気がしました。懐かしい青春時代のノスタルジーに浸るひと時でした。