「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」
ここまで話題になると一応見に行かないとと思って見に行きました。テレビアニメを見ていた時も気になる必要以上の引き伸ばしとストーリー展開のキレのなさが、テレビなら構わないが映画だと無駄に長いだけになった感じで、演出の弱さが露呈した感じですね。まあ普通の映画でした。監督は外崎春雄。
主人公炭治郎らは、大勢が鬼に殺されているという無限列車に乗り込む所から映画は始まる。鬼殺隊最強の戦士の一人煉獄も彼らとともに乗り込んでいた。列車そのものを鬼と同化した敵が炭治郎らに向かってくる。なんとか退治したものの煉獄の前に上弦の参の鬼が現れる。この展開がとってつけたようになっていて、列車の死闘はなんだったのと思ってしまう。
そして煉獄と死闘の末、煉獄は敗れたものの命からがら鬼も退散する。命が尽きていく煉獄は炭治郎らにこれからを託して映画は終わる。
エピソードの配分は完全にテレビ的なつなぎあわせになっているのは仕方ないが、終盤の間延びする展開はスクリーンで見るとかなりしんどい。もっと終盤をたたみかけるだけの演出ができたらと思う。結局、ブームに乗っての映画作りという仕上がりでした。
「天外者」(てんがらもん)
大阪商工会議所の初代会頭にして日本経済の礎を築いた五代友厚の半生を描いた作品で、テレビスペシャルレベルの映画でしたが、亡き三浦春馬主演でもあり見に行きました。映画としては五代友厚の何を描きたかったのかがわからない映画でした。監督は田中光敏。
若き日の友厚=才助が侍に追われている場面から映画は始まる。長崎で勉強し、ペリー来航で揺れる日本を見つめ、自由な国にしたいという夢を抱く才助が、初恋ではるとの出会い、イギリス留学、そして日本を動かす坂本龍馬、岩崎弥太郎、伊藤博文らと出会いながら必死で日本を誰もが夢見ることができる国に作ろうと奔走する姿を描いていく。
ただ、五代友厚の生きた跡を丁寧に取り上げていくだけの展開で、傍の人物の描写にも掘り下げた演出は見られず、ゆえにか五代友厚本人の生き様も浮き上がってこない。せっかくの三浦春馬の熱演が映画の中で生きていないのは残念。
五代友厚の死とお通夜の夜大阪中の人々が列をなす明かりのシーンで映画は終わるが、こちらに訴えかけてくる人間ドラマとしては少し弱い気がしました。