くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「キングスマン ファースト・エージェント」

キングスマン ファースト・エージェント」

面白かった。ますます磨きのかかったアクションシーンの数々も楽しいし、見せ場の連続というかてんこ盛りで飽きさせないし、歴史の史実をフィクションに取り込んでいく脚本も面白い。難を言えば、これはB級映画の作り方で、それなのに妙に高級感が漂ってきたのはどうかなと言えなくもない。でも、バレエをイメージしたラスプーチンとのアクションは絶品だし、クライマックスのカシミヤヤギのユーモアも笑えるし、とにかく物語が実によく練り込まれているのは見事という他ありませんでした。監督はマシュー・ボーン

 

1902年南アフリカ赤十字の仕事をしているオックスフォード公と妻、幼いコンラッドが馬車に乗っている。捕虜キャンプについた一行はそこで友人のキッチナーに会う。しかし直後スナイパーに襲われ、オックスフォード公の妻が亡くなりオックスフォード公も足に怪我をする。そして12年後。

 

世界大戦が勃発し、その戦争を影で操る組織のボスがそのメンバーに指示をしている。大戦の中、イギリスは戦争に否定的でそんなイギリスを挑発するようにドイツが仕掛けて来る。その戦争を終結させるためにオックスフォード公らが画策を始める。成長したコンラッドもメンバーに加え、ドイツを操っているらしいラスプーチンを倒すべくドイツに向かう。そして強敵ラスプーチンを倒す。ラスプーチンにオックスフォード公が足を治してもらうが、殺されかかり、駆けつけたコンラッドラスプーチンが格闘をする。この場面、バレエのように華麗に舞うラスプーチンとのアクションシーンが素晴らしい。

 

イギリスに戻ったコンラッドは、国民として戦争に行くべきだと主張し、父の反対を押し切って志願する。将校になったコンラッドを帰国させるべくオックスフォード公はイギリス王の力を借りて帰国させようとするが、父に反抗し、コンラッドは伍長と入れ替わり前線へ行く。しかしそこで戦死する。この人間ドラマの部分がやや希薄なのは実に残念。

 

アメリカを参戦させれば戦争は終結するとイギリス国王らは判断するが、コンラッドを亡くしたオックスフォード公は酒浸りの日々だった。女中のポリーがなんとかオックスフォード公の気持ちを変え、アメリカ大統領に働きかけを開始する。ところがアメリカ大統領は影の組織に操られ、弱みを握られた大統領は戦争に踏み切れない。弱みとなったフィルムを手に入れるべくオックスフォード公、ポリー、ショーラは影の組織のアジトへ向かう。

 

アジトで出会ったのは、影の組織のボスで、キッチナーの部下だったモートンだった。オックスフォード公らはモートンを倒し、アメリカ大統領の弱みとなっているフィルムを奪い、無事アメリカは参戦となり戦争は終結する。しかし、次の戦争を予感したオックスフォード公らは、メンバーを集め、キングスマンとして裏の諜報組織を立ち上げる。一方、ロシアを革命に導いた影の組織のメンバーは、次の戦争に向けてあらたなメンバーを採用していた。その人物とはヒトラーだった。こうして映画は終わる。

 

とにかくエピソードがてんこ盛りで、それぞれが一本の線上に乗っているようだが、史実を巧みに取り入れたために、羅列になっている部分もあり、すっきりとまとまっていないのは残念。しかし、アクションシーンが実にオリジナリティがあって面白いし、カメラワークも華麗、ドラマ性も盛り込んで非常にスタイリッシュで高級なアクション映画に仕上がっています。傑作とは行かないまでも、これだけの作品はそう易々とできないのではと思えるほどの一本でした。