くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「新解釈・幕末伝」「ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行」

「新解釈・幕末伝」

最近の福田雄一監督作品の中では一番出来が良かった気がする。おふざけとシリアスのテンポが絶妙で、締めるところはしっかり締めて、ふざけるところはいつものノリで突っ走る。しかし行き過ぎないタイミングでシリアスに切り替える。これは才能のなせるものだと思いますが、今回そこが心地よく収まっていたのが良い。史実を挿入しながらも何気ないドラマを生み出した作りも良かった。役者さんたちも楽しく演じているし、それぞれの個性が生かされていたのも好感でした。

 

歴史学者が、歴史の真実は実はこうだったのではないかと釘を刺して好き放題に話を進めると宣言するオープニングから映画は幕を開ける。時はペリーの黒船来航。西郷隆盛坂本竜馬桂小五郎らが黒船に行こうと浜で筏を作るというふざけたシーンに始まり、薩長同盟締結の夜という歴史舞台を坂本竜馬に扮したムロツヨシが好き放題にふざけ回る。それでいて、シーンを締めるべきはしっかり締める、

 

寺田屋事件で仰々しいほどにエロコメディを展開して広瀬アリスを思い切り遊んでみた後、坂本竜馬おりょうの新婚旅行からの西郷隆盛の人物像を遊びまくる展開へ。

 

新撰組の前身壬生義士らを交えた茶屋シーンのコミカルな場面がある一方で、船中八策を交えた西郷、木戸、後藤、らの倒幕談義のふざけた場面から、一気にシリアスな大政奉還のシーンへ続き、内戦を避けられた安堵で胸を撫で下ろす西郷隆盛のところへ、坂本竜馬大政奉還後の政権の行方を記した書面を届け、自らは自由に生きたいと西郷に豪語して映画は終わる。

 

どこか不思議なほどに坂本竜馬の人物像が愛くるしく、さらに涙を誘うほどに愛おしくなる。周囲の脇役のコメディシーンもとにかく痛快で、まるでチャップリン映画を見ているような構成でラストを迎えるストーリー構成が実に上手い。決して大傑作とは言えないまでも福田雄一色満載の歴史コメディでした。

 

 

「ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行」

前半はファンタジックな絵作りとカメラワークで素敵な出だしなのに、どんどんお話が俗っぽくなって、ラストの処理はあまりに工夫がなくて残念。舞台劇スタイルで展開する物語と、車と景色を使った映画的ファンタジーが微妙にチグハグでまとまってこないのが勿体無い映画だった。監督はコゴナダ。

 

デヴィッドが友人の結婚式に行くために家を出るところから映画は幕を開ける。ところが車に乗ろうとしたら駐車禁止で乗れず、傍に貼ってあったレンタカーのチラシを見てレンタカー会社へ行き、一昔前の車を借りる。そしてとりあえず式場へ。式が終わり、パーティの席で一人の女性サラと出会う。お互いに近づくようで近づかないまま、サラは冗談半分かデヴィッドにプロポーズするも、そのまま会場へ消える。

 

デヴィッドは帰り道、ナビから、ワクワクする旅に行きたいかという問いかけが流れてきて、デヴィッドは行きたいと答える。ナビに導かれるままに高速を降りてレストランに入りチーズバーガーを食べていたら、席の向こうにサラもいた。店を出るとサラもレンタカーだった。それぞれの車に乗ったが、サラの車がエンジンがかからず、デヴィッドの車で一緒に出かけることになる。

 

ナビが最初に示したところで森に入るとドアがあった。それを開けると、デヴィッドがかつて訪れた灯台だった。サラと次の場所に行きドアを抜けるとサラがかつて訪ねた美術館だった。こうして、二人はこれまでやり残してきた時間と場所にたどり着くようになる。デヴィッドは高校時代、演劇の主演をやった時間、大好きな女性に告白するも振られた過去があった。サラは、愛人とSEXしていて、母の死に目に会えなかった時間に戻る。

 

二人は、それぞれやり残した時間に戻り人生のターニングポイントをやり直そうとしていく。デヴィッドは、婚約者と別れ、サラは、愛されることに臆病で恋人と別れる。二人はまた車に乗るが途中で鹿とぶつかって車は炎上、ホテルに泊まって一夜が明けるとレンタカーの会社が車を治してくれていた。

 

そして、最初のレストランに戻った二人は、それぞれの車に戻る。それぞれもう旅は終わりにしたいから家に帰りたいとナビに指示、それぞれがそれぞれの家に戻り、デヴィッドは、高校時代の自分の父親になってかつての自分と向き合い、サラは子供に戻って生前の母と再会する。そしてもう一度やり直すべく二人は家を出る。デヴィッドはレンタカー会社に戻り車を返し自宅に帰る。そして玄関で座っていると、サラがやってきて、愛していると告白し二人はキスをして映画は終わる。

 

全編ファンタジックな演出を貫くのですが、出だしに比べて後半は今ひとつ精彩がない。地球を見下ろす中盤など素敵なのにそのあとのアイデアが弱いので、映像と物語が膨らんでいかいのがちょっと勿体無くて、ラストは流石に普通すぎる。こういう映画もあるという一本だった。