くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2010-01-01から1年間の記事一覧

映画感想「マザーウォーター」「隠された日記 母たち、娘たち」

「マザーウォーター」 日常のたわいの無い風景がワンシーンワンカットを多用した画面作りで静かに展開していく様は一見現実的であるようであるが、まったくの架空の世界であることにいつの間にか気がつく。桜の花が満開になっていくさまが時間の流れを静かに…

映画感想「首」

紛れもない傑作である。90分あまりという人間の集中力の限界を最大限に緊張させてくれ、見終わった後、ほっとした解放感と何ともいえない充実感に満たされる。たった一つの真実に向かって邁進していく正木弁護士の姿が鬼気迫る小林桂樹の演技で見事に表現…

映画感想「ジャーロ」

この手のB級ホラー映画にどうのこうのという意味もないと思うので、これはこれでいいだろうと思う。ストーリーは適当だし、猟奇殺人を行う異常な犯人もラストでまともに逃亡を考えるなんていうのは笑止の如しであるが、まぁいいじゃないですか?さて、本当…

映画感想「100歳の少年と12通の手紙」「わたしの可愛い人シェリ

「100歳の少年と12通の手紙」 難病物の物語をこれほどファンタジックな映像で包み込んだ映画は今までなかったと思います。CGアニメを始め、極端なクローズアップ、ロングショット、長回しなどテクニックの限りを駆使して語られる主人公オスカーの物語…

映画感想「2001年宇宙の旅」「リトル・ランボーズ」

「2001年宇宙の旅」 何十年ぶりにみたことか、もう一度みるならシネラマに近い巨大スクリーンでと思っていたが、今回の午前10時の映画祭ではやや小振りのスクリーンだったのは残念。とはいえ、今回は素直にラストシーンに感動してしまった。もちろん、…

映画感想「白と黒」「ソフィアの夜明け」

「白と黒」 これは傑作でした。橋本忍のオリジナルストーリーというのが驚きで、それぞれのプロットの組立、前後のストーリー展開の妙味などは明らかに名脚本家のなせる卓越した構成のうまさである。しかも、仲代達矢と小林桂樹の迫真の演技のみならず脇に演…

映画感想「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」

いわゆる”落ちこぼれ”というような意味合いの題名である。ザ・ビートルズのメンバージョン・レノンの若き日の物語をポップな音楽をバックにモダンな映像でつづった秀作でした。監督はアンソニー・ミンゲラ監督に見いだされた一流の現代アート/フォトグラフ…

映画感想「ライトスタッフ」「世にも怪奇な物語」「トラブル・イン・

「ライトスタッフ」 はじめて見たのが約20数年前、良かった、というイメージしか残っていないのと、クライマックスロッキードに乗ったイエーガー(サム・シェパード)が成層圏を越えてエンジンが止まり落下してくる瞬間に宇宙をのぞくシーンしか覚えていな…

映画感想「エクリプス/トワイライトサーガ」

ファンタジックでピュアなラブストーリーのシリーズ三作目。今回は、ベラを執拗に殺そうとするヴェロニカが新参者の吸血鬼の集団を育て上げ、襲わせようともくろむ。 それに対しエドワードらの吸血鬼ファミリーがジェイコブ等の人狼の群と一時的に手を結んで…

映画感想「月夜の宝石」「紅いコーリャン」

「月夜の宝石」 先日までみていたフランスコメディの中のブリジッド・バルドーとはうって変わってのシリアスな顔つきのバルドーが見物のサスペンス映画。監督はロジェ・バディムです。とはいえ、おきまりのようにブリジッド・バルドーのセクシーなショットも…

映画感想「殿方ご免遊ばせ」

ラブコメというのはこうやって作るんだといわんばかりのお手本のような楽しい映画でした。古きよきフランス映画のコミカルな雰囲気が満載で、キュートでちょっとセクシーなブリジッド・バルドーの魅力がいっぱい。しかも、ウエディングドレスからビキニ姿ま…

映画感想「リミット」

棺桶のような木箱の中に手足を縛られて生き埋めにされた男の奮闘劇を描くサスペンスミステリー。と、宣伝フィルムを見たときからおもしろそうなイメージで期待もしていたが、よく考えると、あの閉鎖空間のシーンだけでどれだけ見せるのか不安もありました。 …

映画感想「エル・トポ」

カルトムービーの頂点というふれこみで、実に40年ぶりの公開ということでしたが、正直、全くついていけませんでした。映像は監督の感性のなせるままに何の動きの連続性もなく映し出されてきます。血しぶきや動物たちのグロテスクな死骸などが目の覚めるよ…

映画感想「素直な悪女」「裸で御免なさい」

「素直な悪女」 映画監督で夫でもあるロジェ・バディムがブリジッド・バルドーを大スターに押し上げた記念碑的作品。 主人公ジュリエット(ブリジッド・バルドー)は孤児であったが、今住む町に引き取られ、本屋で働いている。しかし、自由奔放でかつ魅力的…

映画感想「一瞬の夢」

ベルリン映画祭新人監督賞受賞、ジャー・ジャンクー監督のデビュー作ということで、ちょっと期待して見に行ったのであるが、なんのことはない、退屈な映画だった。カメラを据えたままで延々と長回しをする撮影、演技者任せの演出は一昔前なら斬新であるが、…

映画感想「變臉<へんめん> この櫂に手をそえて」「ソウ ザ・ファ

變臉<へんめん> この櫂に手をそえて 年老いた大道芸人の晩年を描いた中国映画の名作。 自在に顔の仮面が入れ替わるという唯一無二の芸を持つワン、しかし跡継ぎもないままに今や老齢の域に達している。そんな一人の芸人を描いた人間ドラマは重厚な反面、非…

映画感想「クロッシング」(米)

「ザ・シューター極大射程」のアントワーン・フークワ監督作品なので長尺とはいえおもしろいと期待して見に行ったが、期待通り引き込まれてしまいました。エディ(リチャード・ギア)タンゴ(ドン・チードル)サル(イーサン・ホーク)の三人三洋の人生が交…

映画感想「わたしのお医者さま」

ブリジッド・バルドー生誕祭の一本で本日見てきました。なんと共演はあの「ベニスに死す」のダーク・ボガードなのですが、「ベニスに死す」のイメージとはほど遠い軽いムードの診療助手という役柄、しかも回りが大きいせいか非常に小柄にみえて貫禄も何もな…

映画感想「冬の小鳥」

1975年の韓国を舞台に、父親に児童養護施設に預けられた一人の少女ジニのもの悲しくも、運命を受け入れて新たな旅立ちをしていくまでを散文詩のような映像とストーリー展開で描いていく話題作を見てきました。黒バックのタイトルが終わるとひとりの少女…

映画感想「芙蓉鎮」

中国文化大革命を背景に、一人の女性の半生を通じて、激動の時代に翻弄されていく人々の姿を重厚なカメラで描いた中国映画の秀作を見てきました。 横長の画面で大きく俯瞰でとらえた架空の街芙蓉鎮の甍の町並みの隙間からみえる村人の姿や、傾けたカメラによ…

映画感想「北京の自転車」

ベルリン映画祭で銀熊賞、審査員グランプリ、新人男優賞を受賞したにもかかわらず未公開だった2000年制作のまぼろしの映画である。 オリンピック開催前の北京を舞台に、著しく経済成長していく都会の姿と、一台の自転車が仲介となってふたりの青年の姿を…

映画感想「雷桜」

年末大型時代劇のごとき作品、といえばちょっと言い過ぎかもしれないが、どうも今一つ映画としてのリズムが沸いてこない作品でした。廣木隆一監督の演出は非常に長回しを多用し、演技者にしっかりとそのシーンの機微を伝えてくることが特徴だといえますが、…

映画感想「インシテミル7日間のデスゲーム」

原作のあるミステリーであり、中田秀夫監督作品、しかも綾瀬はるか、石原さとみ、藤原竜也などそうそうたるキャストを従えてホリプロ50周年企画と言うことで期待も半分あったのだが、何とも平凡な作品でした。しかも、原作の欠点か、脚本の欠点か、穴だら…

映画感想「ペルシャ猫を誰も知らない」

イランの音楽活動をする若者たちの物語である。バンドが奏でる音楽が始まると映像が踊り出す。自由気ままに撮影されたバイタリティあふれるカメラワークは時にピント合わせさえも無視し、ピンボケのままにシーンが展開したりする。真正面からとらえるなどの…

映画感想「エクスペンダブルズ」「大奥」

「エクスペンダブルズ」 とにかくやりたい放題に、叩きのめすは殴るは蹴るは投げるは、はたまた破壊の限りを尽くして爆破するはと、アクションシーンの固まりである。しかも、そのアクションシーンが実にスピーディで歯切れがいい上に小気味良いからすかっと…

映画感想「桜田門外ノ変」

歴史の史実を描いたドラマは時面白味に欠け、ただ重厚な作品のみに仕上がる傾向があるが、今回の作品はさすがに佐藤純彌監督、それなりの人間ドラマに仕上げていました。映画はクライマックスの桜田門外での井伊大老襲撃の場面から始まります。現代の桜田門…

映画感想「プチ・ニコラ」

本当に楽しい映画です。 映画が始まると、飛び出す絵本にイラストが書かれ、それが動きながらタイトルがその中につづられていきます。数ページ写された後で画面は小学校の教室の一室。主人公ニコラが通う学校です。先生が生徒たちに「将来なりたいものお書き…

映画感想「ナイト&デイ」「七瀬ふたたび」

「ナイト&デイ」 映画が始まるとノンストップアクションの連続。撃つ、逃げる、飛び跳ねる、次々と繰り返されるアクションの連続にスクリーンから目を離せない。ただ、見終わった後、その感覚しか残っていないのが今一つ残念な一本でした。ストーリーはいわ…

映画感想「乱暴と待機」「ナイト・トーキョー・デイ」

「乱暴と待機」 ちょっとおもしろいのじゃないかなという不思議な期待で見に行った映画、何とも始まってから最後まで訳の分からない支離滅裂な展開に何ともいえない思いで劇場をでる結果になってしまいました。原作があるので、原作のファンがそれなりに集ま…

映画感想「死刑台のエレベーター」

いまさら言うまでもなくオリジナルは1957年巨匠ルイ・マル監督のデビュー作にして映画史に殿堂入りしている傑作である。したがって、当然、マイナスイメージから観客の視線を受けることになるだけでも不利といえる。しかし、凡人監督ならまだしも、才能…