くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2011-01-01から1年間の記事一覧

映画感想「山猫」「新少林寺」

「山猫」イタリア語完全復元版 まず最初に、驚くのが、見事によみがえった豪華絢爛たる色彩、そしてクラウディア・カルデナーレの美しさである。 本物の調度品、本物の美術品がところ狭しと飾られた室内のシーンはこれこそヴィスコンティ映画の真骨頂ともい…

映画感想「むかしの歌」「残菊物語」「小人の饗宴」

「むかしの歌」 1939年、石田民三監督作品。その完璧な構図の連続で文化遺産のような名作と呼ばれている一本らしい。その作品紹介通り見事な映画でした。連続する画面の構図がそのどれをとっても非常に美しいし均整が取れている。日本映画ならではの町並…

映画感想「ラブ・アゲイン」「ミラノの奇蹟」

「ラブ・アゲイン」 組に組み込まれた楽しいエピソードの数々がこれでもかというほどに入り乱れて絡み合って、チャーミングなユーモアのエッセンスに満たされた極上のラブコメでした。本来ラブコメは苦手なジャンルの映画なのでほとんど敬遠するのですが、今…

映画感想「アギーレ/神の怒り」

「タイム」誌が歴代映画100選に選んだというヴェルナー・ヘルツォーク監督の代表作。 アマゾンの奥地に伝説の黄金郷エル・ドラドを求めて進むスペインの探検隊の物語を幻想的なカメラワークで描いた作品である。事の起こりがテロップで説明されるといきな…

映画感想「コンテイジョン」

この映画はサスペンスでもアクションでもSFでもありません。非常にシンプルな物語をドキュメントタッチでリアリティあふれる映像で描かいた社会ドラマなのです。もちろん中心になる人物は登場しますが、それぞれの名前はほとんど意味をなさない。いくつか…

映画感想「神々の深き欲望」「息子」

「神々の深き欲望」 30数年前に初めてみたときは、さすがに自分の理解のレベルを超えていた。今回再見して、この映画のど迫力に度肝を抜かれる思いでした。今村昌平ならではの毒々しいほどの色使いと、汗がほとばしるようなむせ返るような演出、それがこの…

映画感想「ハラがコレなんで」「マネーボール」

「ハラがコレなんで」 「川の底からこんにちは」「あぜ道のダンディ」と秀作を連発した石井祐也監督の作品であるが、前二作のキャラクターを混ぜ合わせたような主人公と展開が今一つ不完全燃焼し、そして支離滅裂にエンディングしてしまった残念な作品でした…

映画感想「インモータルズ -神々の戦い-」「アンダーグラウンド」

「インモータルズー神々の戦いー」 「落下の王国」のターセム監督の新作はなんと「300」の製作スタッフと組んだCG歴史大作。もちろん、ターセム監督の独特の映像美の世界がその最大の見所である。映画が始まると、巨大な檻、そこにつながれたタイタン族…

映画感想「1911」「マーガレットと素敵な何か」

「1911」 思っていた以上にしっかりと作られた歴史大作でした。一本筋の通った物語を徹底的に貫いているためにたくさんの人物が登場するにも関わらず混乱せずに最後まで見ることができるのです。しかも、見終わった後歴史大作をみたという充実感と一人の…

映画感想「ステキな金縛り」「カイジ2 人生奪回ゲーム」

「ステキな金縛り」 三谷幸喜の才能が爆発した楽しい作品、ではありましたが、2時間にまとめて必要以上の間延びしたシーンをばっさり切っていれば傑作に仕上がっていただろうと思うと非常に残念な作品でした。ストーリーも、ちりばめられた茶目っ気あふれる…

映画感想「愛の渇き」「戒厳令」

「愛の渇き」 とんでもない映像世界を見せていただきました。画面全体から漂ってくるどうしようもなく妖艶な女の色香、そのむせ返るような空気がドキッと知るほどに大胆なカメラワークで目くるめく情念を描き出してきます。原作は三島由紀夫、監督は蔵原惟繕…

映画感想『河内のオッサンの唄」「自分の穴の中で」

「河内のオッサンの唄」 関本郁夫と高田純の脚本がテンポよくて痛快、次々と小気味よく進んでいくストーリーは、プログラムピクチャー華やかなりし頃のバイタリティがあふれ、最初から最後まで決して飽きさせない娯楽作品として仕上がっています。稀代のわき…

映画感想「友だちのうちはどこ?」「越後つついし親不知」

「友だちのうちはどこ?」 アッバス・キアロスタミ監督が描いたイラン映画である。さすがにここまで研ぎすまされた感性で映画を撮られると、私のような凡人には受け入れられないほどのしんどさがないでもないのだが、見終わってこうして感想を書いていると、…

映画感想「ゲーテの恋 君に捧ぐ 若きウエルテルの悩み」「フェア・

「ゲーテの恋 君に捧ぐ『若きウェルテルの悩み』」 思っていた以上に良い映画でした。全体に物語の展開のバランスが本当によく組み立てられているのです。静かで淀みの無かった海が次第に波立ち、やがて怒濤のようにうねり初めて岸壁にぶつかって砕け、やが…

映画感想「ウォ-リアー&ウルフ」「ラビット・ホール」

「ウォ-リアー&ウルフ」 中国映画の巨匠ティエン・チュアンチュアン監督が井上靖の原作を元に描いた歴史超大作である。主演の陸にオダギリ・ジョーが扮し、ハラン族の美女にマギー・Qが扮している。物語は今から2000年前の中国、辺境の地で遊牧民と戦…

映画感想「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」

結局、続編を見ないとこの物語の結末と面白さは堪能できないということでしょうか?もうちょっと、わくわくどきどきのアドベンチャースペクタクルだと期待していたのですが、ちょっと物足りませんでした。 代表作の「バイオ・ハザード」はDVDでしか見てい…

映画感想「ラルゴ・ウィンチ 裏切りと陰謀」「東京オアシス」

「ラルゴ・ウィンチ 裏切りと陰謀」 巧みすぎるほどに丁寧に組み立てられた物語構成とほんの些細なせりふの一つ一つに組み込まれた伏線の数々が見事なサスペンスアクションとして結実、ジェローム・サル監督の独特のスピード感あふれるカメラワークと緩急を…

映画感想「ミッション:8ミニッツ」「パピヨン」

「ミッション:8ミニッツ」 ラストは絶対に口外しないでくださいという鳴り物入りで宣伝していたサスペンスミステリーをきたい十分に見に行きました。 監督は「月に囚われた男」のダンカン・ジョーンズです。過去に戻って8分間だけ他人の体に入って真相を…

映画感想「ハートブレイカー」「密告・者」

「ハートブレイカー」 久しぶりに最高にハッピーなラブストーリーに出会いました。ほんの一瞬も手を抜かない丁寧な脚本と、最後の最後まで気を抜かない繊細な演出、それに、登場人物のそれぞれがとってもハートフルで素敵、こんな映画いったい何年ぶりに出会…

映画感想「ウィンターズ・ボーン」「ラルジャン」

「ウィンターズ・ボーン」 数々の賞にノミネートされ、アカデミー賞作品賞ノミネート作品として今年最後の話題作である一本を見てきました。非常に内容が暗い上に、これといった劇的な展開や出来事も起こらない。ただひたすらジェニファー・ローレンス扮する…

映画感想「禁じられた遊び」「スリ」

「禁じられた遊び」 何十年ぶりかでスクリーンでみなおしたけれど、やはり今回も、ルネ・クレマンの卓越した演出力に改めて背筋が寒くなった。 もちろん、物語は悲しいし、主演のポレットを演じたブリジット・フォッセーは本当に愛くるしいしかわいい。しか…

映画感想「美徳のよろめき」「夜の鼓」「真剣勝負」

「美徳のよろめき」 三島由紀夫の原作を新藤兼人が脚本、中平康が監督をしたいわば不倫者の物語である。90分あまりの作品であるが、主人公がかなわぬ不倫によろめく姿をのらりくらりと描いていくストーリー展開は、そのまま作品のリズムののらりくらりとし…

映画感想「ビルマの竪琴」(総集編)「親鸞 白い道」

「ビルマの竪琴」 市川崑監督の旧作の方の「ビルマの竪琴」をみてきました。 噂通りの名作。なんといっても人物の配置が本当に美しく、スタンダード画面にも関わらずパンフォーカスを多用した奥行きの深い画面の構図が登場人物の心の表情とその周辺の人物の…

映画感想「スマグラー お前の未来を運べ」

近年みた日本のアクション映画の中で際だった傑作と呼べる一本だと思います。とにかくおもしろかった。しかも、映画というものをちゃんと知ったスタッフがスクリーンに映し出される娯楽として完成させたというムードがプンプンするすばらしい一本でした。夜…

映画感想「大いなる西部」

なるほど、これは名作である。ラストシーンに向かってまるで外堀を埋めていくようにプロットが組み立てられている。その脚本のすばらしさはもちろんであるが、これは明らかにウィリアム・ワイラー監督の抜群の演出力のたまものである。3時間足らずという超…

映画感想「ランゴ」

映画が始まってからエンドタイトルが終わるまで、とにかく音楽と歌、そしてアニメが抜群に楽しい。古き懐かしいマカロニウエスタンの世界が大人のCGアニメになって帰ってきたという感じの軽快な一本でした。エモーションキャプチャーといって俳優が直に演…

映画感想「やがて来たる者へ」「メサイア」

「やがて来たる者へ」 久しぶりに純粋に魂を揺さぶられる傑作に出会いました。詩的ともいえるファンタジックなまでの画面、胸に響くように伝わってくる主人公の少女マルティーナのふるえるような不安、じわりと迫って寒気を覚えてくるような戦争の恐怖。なに…

映画感想「カウボーイ&エイリアン」

内容が内容なので、素直にわいわいと楽しめる作品かとちょっと期待して行ったのですが、思っていたほどにわくわくどきどきのアクション映画に仕上がっていませんでした。ストーリーとカメラ演出にスピード感がないのです。それが、このちょっと楽しめる発想…

映画感想「5デイズ」

レニー・ハーリン監督といえばアクション映画の演出でその手腕を発揮するが、今回のこの作品はきわめて政治色の強いかなりシリアスなドラマである。しかし、そんな社会ドラマにレニー・ハーリンの卓越したエンターテインメントの才能がコラボレートし、しっ…

映画感想「たまたま」「エンディングノート」

「たまたま」 蒼井優が水に落ちて宛先がにじんで行き先のわからなくなった一通の手紙になって名も知らない町をさまよい歩くファンタジーである。たまたまというのは、つまり偶然という意味のたまたまである。水ににじんだインクの模様をバックにタイトルが始…