くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2012-01-01から1年間の記事一覧

映画感想「ミステリーズ 運命のリスボン」

めくるめく人物関係、中心となる語り手が次々と代わり、それぞれの関係が幻想のように絡み合い、誰が同一人物かさえ定かでなくなる陶酔感。最初でこそ物語を追っていたものの後半にはいるとどうでもよくなってくる。これはいわゆる一瞬の夢なのではないかと…

映画感想「我が家は楽し」

中村登監督の出世作となるホームドラマ。キャストが実に豪華でそれだけでも見応えのある作品であるが、物語としてはシンプルな家庭劇である。ミニチュアをバックにしたタイトルが終わるととある家庭、製作された1951年の日本の中流家庭の経済事情を切々…

映画感想「アパートメント:143」「煙突の見える場所」「東京のえく

「アパートメント:143」 「リミット」のロドリゴ・コルテスが脚本のスペインホラー映画。 今はやりのドキュメンタリータッチの作品です。カメラを振り回しているように見せていますが、実はデジタル処理でぶれているように見せているなどなかなか手の込…

映画感想「シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語」「悪の教典

「シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語」 上戸彩ちゃんが宣伝してるし、ジェームズ・キャメロン監修ということもあり見に行きました。監督はアンドリュー・アダムソン、物語はシンプルで一人の女性がサーカスの曲芸士を追って不思議な世界にはまりこ…

映画感想「花つみ日記」「宗方姉妹」「張込み」

「花つみ日記」 花柳界を描かせると絶品と言われる石田民三監督作品 大阪宗右衛門町にある置屋の娘を主人公に東京から転校してきた少女との友情の物語を描いていく。当時15歳の高峰秀子がとにかく可憐で美しくかわいらしい。ほとんどの登場人物が女性とい…

映画感想「旅のおくりもの 明日へ」

「王様とボク」の前田哲監督作品と言うことで見に行ったが、何ともゆるい、ゆるゆるの映画だった。設計士の主人公孝祐が定年退職するところから映画が始まり、自宅を片づけていると学生時代に文通していた福井に住む少女美月との手紙を発見、その少女に会う…

映画感想「ル・コルビュジエの家」

世界的なデザイナーレオナルドはル・コルビュジエが設計したクルチェット邸二すんでいる。ある朝、物音で目を覚ましてその音の原因を探していると、なんと向かいの家の壁がぶち割られてこちら側に窓が開こうとしている。自分の家の中が丸見えになると懸念し…

映画感想「北のカナリアたち」「黄金を抱いて翔べ」

「北のカナリアたち」 木村大作のカメラが抜群に美しい。それをみるだけでもこの映画を見た甲斐があったと言うべきである。しかも、一番美しいショットをとるために途方もない時間を待っているという今時珍しい贅沢なことをしているのが目に見える。まさに大…

映画感想「桃(タオ)さんのしあわせ」「声をかくす人」

「桃さんのしあわせ」 アンディ・ラウがノーギャラで物静かな役柄に臨んだ意欲 作で実話を元にした感動のドラマをみてきました。淡々と語られる物語なのに、じわじわと迫ってくるこの感動は何なのだろう。そんな何ともいえない暖かくなるような感動に包まれ…

映画感想「リンカーン/秘密の書」「のぼうの城」

「リンカーン秘密の書」 ティムール・ベクマンベトフ監督作品ということでもあり、「ウォンテッド」が好きな私としてはちょっと期待の映画でしたが、どうも、この手の荒唐無稽な物語にしてはわくわく感がない映画でした。もっと、血わき肉踊るどきどき、はら…

映画感想「がんばれ!ベアーズ」

一歩間違うと、何ともいえない駄作になるところがその寸前で傑作になったコメディ映画の傑作。まず脚本がすばらしくよくできている。一見、平凡な少年野球チームの奮闘気であるが、大人たちへの微妙な風刺が聞いているし、さりげない演出の中にそれぞれの少…

映画感想「危険なメソッド」「終の信託」

「危険なメソッド」 デビッド・クローネンバーグ監督の最新作にして話題の一本をみた。物語は著名な心理学者ユング、そして彼が父と仰ぐフロイト、そして二人の間に存在した女性にして後に精神分析医になるザビーナの物語が中心になる。格調高い画面づくりで…

映画感想「ザ・レイド」「SAFE/セイフ」

「ザ・レイド」 派手なアクションと殺戮戦が話題のインドネシア映画を見てきた。まったく、アクションに次ぐアクションで、後半の三分の一は食傷意味でやや飽きてくるほどだった。映画が始まる。時計のアップ。チクタクという音とともに一人の男、ラマが腹筋…

映画感想「時をかける少女」(原田知世版)「高校三年生」

「時をかける少女」 30数年ぶりに再見。懐かしいの一言、そして原田知世の愛くるしさに改めてファンになる。青春の切ないひとときを描いた原作のすばらしさはもちろんですが、生まれ故郷尾道へのノスタルジーと古き映画への哀愁を映像に凝縮させファンタジ…

映画感想「4:44 地球最期の日」「エクスペンダブルズ2」

「4:44地球最期の日」 「バッド・ルーテナント刑事とドラッグとキリスト」のアベル・フェラーラ監督作品なので見に行ったのだが、なんともしんどい作品だった。題名とは裏腹によくあるスペクタクルは全くない。翌日に地球最期の日が迫った社会を舞台に主…

映画感想「キック・オーバー」「アルゴ」

「キック・オーバー」 メル・ギブソンは「マッド・マックス」以外は好きではないのでみるつもりはなかったけれど、あんまり映画サークルのメンバーがおもしろいというので見に行きました。いやぁ、おもしろかった。アイデアで見せる映画に久しぶりに出会った…

映画感想「学園広場」「非行少年 若者の砦」「家族ゲーム」

「学園広場」 たわいのない学園ドラマで1時間あまりの作品であるが、実にテンポがいいし小気味良い。あれよあれよとストーリーが前に進んでいくし、それぞれの登場人物が本当に明るく描き切れている。カメラの動きも軽快で、細かいカットや展開のおもしろさ…

映画感想「思秋期」「ハスラー」

「思秋期」 非常にまじめなシリアスな映画。そんな印象の一本。絵がきれいというわけではなく、一人の怒りを抑えられない男ジョセフと夫のDVに苦しむ女性ハンナの物語である。映画が始まると酒場から悪態をついてでてくるジョセフ。当たり散らした末に愛犬…

映画感想「最終目的地」「希望の国」

「最終目的地」 期待のジェームズ・アイボリー監督作品を見る。真田広之出演というのも一つの見所といえる映画でした。非常に静かなストーリーなのですが、映像と音楽、物語が美しくコラボレートした必見の一本だった気がします。全体に落ち着いたムードで淡…

映画感想「八月の濡れた砂」

すでに初公開から40年以上たっている。しかし、画面が写ったとたん、一気に時間が逆戻りし、じぶんの大学生時代にタイムスリップしてしまう。波の音、海岸、砂浜、照りつける太陽、ほとばしる汗、女性の水着、車、なにもかもがまるでついこの間の時のよう…

映画感想「コッホ先生と僕らの革命」「強奪のトライアングル」

「コッホ先生と僕らの革命」 この映画はよかった。素直に感動できる名作と呼べる一本でした。アカデミー賞候補になってもいいかもしれない。19世紀の末、ドイツにサッカーが持ち込まれ広まるきっかけになった実話を元にしているが、物語の構成が実にうまい…

映画感想「野獣の青春」

鈴木清順監督がその清順美学を開花させたといわれる一本。モノクロのタイトルバックに真っ赤な椿が添えられて映画が始まる。ある心中事件のショット、その死んだ男が警官だったという導入部から主人公ジョーが町で大暴れするカラーシーンへのカットバックな…

映画感想「ソハの地下水道」「コンシェンス裏切りの炎」

「ソハの地下水道」 いったいいつまで描かれるのか、ナチスのユダヤ人迫害。この映画はポーランドを舞台に、下水修理t泥棒を仕事にしていた主人公ソハがユダヤ人を地下水道にかくまう話である。実話のリアリティを縦横に走る狭い地下水道を丹念なカメラワー…

映画感想「キューポラのある街」「憎いあンちくしょう」

「キューポラのある町」 なるほど、これは一級品の名作である。どの部分をとっても非の打ち所がない名作とはこのことをいうのだろう。めちゃくちゃよかった。まず目を引くのが画面の美しさ。シネスコの画面なのにずーんと奥に広がる構図に驚かされる。しかも…

映画感想「推理作家ポー 最期の5日間」「東京流れ者」

「推理作家ポー 最期の5日間」 何の変哲もないふつうのミステリーでした。まぁ、期待もしてなかったのですが、まぁあんなものですね。物語もいろんな作家が試みたパターンで、実際に若くして死んでしまったエドガー・アラン・ポーの最後の5日間のミステリ…

映画感想「愛のお荷物」「ウエイバック 脱出6500km」

「愛のお荷物」 愛くるしいほどに微笑ましい作品でした。川島雄三監督作品の中では傑作や秀作とまではいかないものの、憎めない一本という感じですね。制作年が1955年。売春禁止法が成立する直前にして、人口問題が世界的な課題になろうとしていた時期を…

映画感想「拳銃(コルト)は俺のパスポート」「豚と軍艦」

「拳銃(コルト)は俺のパスポート」 話の切れ味が抜群にいい。日活アクション映画の中で隠れた名作と呼ばれる一本をみてきました。ストーリー展開が実にスピーディで、見せ場を見事な配分と配置で見せてくる。所々のつじつまや矛盾を吹っ飛ばしてどんどん先…

映画感想「ツナグ」「ボーン・レガシー」

「ツナグ」 それほど期待もしていなかった作品ですが、なかなかいい映画でした。次々と胸を熱くする展開が実に心地よいし、三つのエピソードが程良い程度に混ざりあって、一本の作品としての物語が伝えるメッセージがしっかりと描かれていてぶれない。従って…

映画感想「悪女の季節」

渋谷実監督の軽いタッチのコメディである。 原作があるのだが脚本が菊島隆三でもあり、もうちょっと期待していたが、導入部のおもしろさにも関わらず中盤から後半は物語が散漫になってしまって、ドタバタ劇にもなりきらず、中途半端な展開になってつまらなか…

映画感想「エージェント・マロリー」「アイアン・スカイ」

「エージェント・マロリー」 観客を無視した脚本が実にリズムの悪い作品になって完成したという感じ。単純に楽しめるアクション映画であるはずなのに、作っている側にしかわからない展開に終始し、主人公を演じたジーナ・カラーノのアクションにも目を見張る…