くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2012-01-01から1年間の記事一覧

映画感想「愛すればこそ」「東京暮色」「箱根風雲録」

「愛すればこそ」 3作のオムニバス映画であるが、どの一本もこれという劇的な物語ではないし、淡々と展開してすっと終わるので正直どれもしんどい。第一話は「花売り娘」監督は吉村公三郎。第二話「とびこんだ花嫁」は今井正、この二本まではそれなりにおも…

映画感想「ハンガー・ゲーム」「現代人」「下町ダウンタウン」

「ハンガー・ゲーム」 スティーブン・キングの「バトル・ランナー」をはじめ、富裕者が貧困者や反逆者を使って殺人ゲームをする設定はSF映画ではよくあるパターンである。従って、今回の映画も薄っぺらなSF大作だろうくらいで見に行ったのだが、何の、結…

映画感想「BUNGO〜ささやかな欲望〜」

「BUNGO」(見つめられる淑女たち) <注文の多い料理店> 監督は富永昌敬である。宮沢賢治の名作をアレンジした大人のラブストーリーで不倫している会社の上司と部下の物語になっている。しかし、メッセージが見えてこない。森の奥の山猫軒に迷い込ん…

映画感想「天地明察」「ロック・オブ・エイジス」

「天地明察」 脚本が実によくできている。細かい部分にあまりこだわらず、物語の大局をおおざっぱにつかんで、歴史の一ページをひもといて娯楽作品として仕上げている。そのためにそれぞれのエピソードのバランスが実にいいし、必要以上にこだわらなくていい…

映画感想「わたしたちの宣戦布告」「そして友よ、静かに死ね」

「わたしたちの宣戦布告」 実話を元にした難病物映画ですが、実によかった。なんといっても映像と音楽のセンスが抜群にいい。映像が物語を語っていくという展開がとっても明るくて楽しいのである。物語は一人の赤ちゃんがMRI検査の中に入っていくショット…

映画感想「WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々」「王様と

「WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々」 う〜ん今一つ乗らない。ストリーガ動いてこないのである。冒頭でマイクが認知症の男レオを引き取る下り、金に困窮している描写が弱い。そこへやってくるカイルという少年。彼がレスリングの才能を見いだされ…

映画感想「待って居た男」「婦系図」(総集編)「おしどりの間」

「待って居た男」 たわいのない捕物帳時代劇である。人物の整理も今一つで、物語のエピソードのバランスもよくない。小国英雄の脚本ながら、凡作と呼べる一本でした。とはいえ、古い映画に共通しているのは映画としての画面づくりがなされていること。大勢の…

映画感想「白雪姫と鏡の女王」「夢見るふたり」「鍵泥棒のメソッド」

「白雪姫と鏡の女王」 インドのターセム・シン監督が描くファンタジーの世界。先日の「スノウホワイト」のような中途半端なアクション映画ではなく、完全に人を食ったようなブラックと風刺の効いたせりふの数々と有名なおとぎ話をあざ笑うかのようなストーリ…

映画感想「デンジャラス・ラン」「イル・ディーヴォ 魔王と呼ばれた

「デンジャラス・ラン」 デンゼル・ワシントンが伝説のCIA職員というトビンに扮したアクション映画なのですが、なんとももったいない映画でした。主演は都会への赴任を希望し、自分への評価に不満なマット。彼がCIA本部と電話のやりとりをするシーンに…

映画感想「カルロス」(第一部第二部第三部)

オリビエ・アサイヤス監督作品でなかったらこんな長い作品見ることはないのだが、やはり映画ファンとしては見逃せない一本であるかもしれないと見に来た。実在のテロリストを描いていくのでアクションのおもしろさをフィクションで作り出すとはいえ、史実を…

映画感想「ライク・サムワン・イン・ラブ」「ヴァンパイア」

「ライク・サムワン・イン・ラブ」 アッバス・キアロスタミ監督が日本を舞台に描く何とも不思議なリズムに彩られた一本でした。デートクラブの待合い所から映画が始まる。一人の女性明子彼氏らしい男からの電話に応対している声が被さる。狭苦しいような室内…

映画感想「時の重なる女(重なりあう時)」「ムースの隠遁」

「時の重なる女」 二重三重に組み立てられた複雑なミステリーの秀作。めくるめくような音楽の陶酔感とどこまでが本来のストーリーか錯覚を繰り返す構成にしまいにはラストの真相さえもが嘘に見えてしまう。ここまで重層的に作られるとまさに本格ミステリー小…

映画感想「気狂いピエロの決闘」「俺の笛を聞け」

「気狂いピエロの決闘」 三大映画祭週間の上映プログラムの一本を見に行きました。 非常にグロテスクな感性に彩られた映像展開とファンタジックな様相が入り交じった独創的な作品でした。ちょっとした逸品だった気がします。映画が始まると細かいカットとテ…

映画感想「コロンビアーナ」「ディクテーター身元不明でニューヨーク

「コロンビアーナ」 リュック・ベッソン脚本ということで見に出かけた。ここにきて未だに「レオン」や「ニキータ」の世界かと思うのだが、確かにおもしろくできあがっている。リュック・ベッソンファミリーの映画に共通して、リュック・ベッソン本人が監督を…

映画感想「あなたへ」「凍える牙」

「あなたへ」 久しぶりの降旗康夫監督作品、ということだけで見に行った。たぶんこんな映画だろうという予想通りの作品でそれ以上でも以下でもなかった。いやそれよりもうちょっと胸に迫る物があるかと思ったが今一つ感じる物がない。そこが何とも残念な一本…

映画感想「るろうに剣心」「闇金ウシジマくん」

「るろうに剣心」 コミックの実写版と侮るなかれ、そして今時の時代劇とさげすむなかれ、これはおもしろい。スピード感あふれる殺陣シーンの迫力と爽快感、これこそ現代的なアクションの新しい形である。とにかく、次の殺陣シーンが楽しみになるほどカメラワ…

映画感想「父よ母よ」「最強のふたり」

「父よ母よ」 主人公である新聞記者の私が当時の様々な非行少年少女たちの姿をその過去と現代、そして非行に至る過程、それらをひもときながらつづっていくドキュメントタッチの映画である。メッセージ性が強く全面にですぎて、個人的には好みの作品ではない…

映画感想「父」

「父」 木下恵介監督の遺作となった作品。加賀渡島の旧家に生まれた日暮菊太郎、お調子者でマイペースな父親を主人公に愛想をつかせながらもどこかで慕っている妻や一人息子が振り回される姿を描いていく。極端なキャラクターを創造することで物語に張りを持…

映画感想「夕やけ雲」

東京の下町を舞台にした人情ドラマであるが、なかなかの秀作だった気がします。主人公の青年洋一が魚屋を父から継いでバリバリ仕事をしているシーンから始まり、彼がかつての自分の少年時代を回想して物語は本編に入っていく。美貌の姉豊子の奔放で打算的な…

映画感想「I’M FLASH!」「007ロシアより愛をこめて(危機一髪)

「I’M FLASH!」 豊田利晃監督作品は二本目であるが、今回の映画はちょっとした一本だった気がします。音のセンスといい、細かいせりふの配慮といい、さらに演出の丁寧さといい、非常に細かい点まで行き届いた作品に仕上がっていました。映画が始まる…

映画感想「善魔」

人の心の中に存在する善、その善を貫くために必要な魔の存在を問う非常にシリアスなドラマで、三国連太郎がその役名を芸名にしたデビュー作としても有名な一本である。新聞社を舞台に新人の主人公三国と三国が尊敬する先輩で部長の森雅之扮する中沼がくりひ…

映画感想「風前の灯」「トガニ 幼き瞳の告発」

「風前の灯火」 木下恵介監督作品の中で裏の傑作といわれている作品だが、なんとも珍品であった。三人の泥棒が一軒の家に目星をつけて今にも押し入ろうとしている。ところがこの家、次々と人の出入りが多くて入れない。そんな外の状況とこの家の中の嫁と舅の…

映画感想「二人で歩いた幾春秋」「アナザー Another」

「二人で歩いた幾春秋」 木下恵介監督作品の中では決して傑作の部類には入らないが、見終わって涙が止まらない。まったくこの手の感動ドラマを作らせると実にうまいなと思ってしまう。物語は戦後すぐに始まる。復員してきた主人公野中は山梨で道路工夫として…

映画感想放課後ミッドナイターズ」「あの日 あの時 愛の記憶」「テ

「放課後ミッドナイターズ」 いわゆるナンセンスアニメのジャンルには入る物語。竹清仁が描くCGアニメだが、とにかく宣伝フィルムを見ていたときからおもしろそうで楽しみにしていた作品である。三人組の幼稚園児マコ、ミーコ、ムツコのキャラクターもとっ…

映画感想「香華」「プロメテウス」

「香華」 有吉佐和子原作の作品であるが、さすがにここまで完成度が高いと言葉がでない。七色に変化するようなカメラアングルのすばらしさも冒頭の葬儀の場面から引き込まれてしまう。同じ有吉佐和子原作の映画では「紀ノ川」が自分のベストテンにはいるが、…

映画感想「海の花火」「春の夢」

「海の花火」 この作品、びっくりするほどにカメラが美しい。構図の点、ワーキングの点で目を見張るものがある。しかも人々のクローズアップとドキッとするような遠景が織り交ぜられたリズムは全くすばらしい。ので、これは紛れもなく傑作かと身を乗り出すの…

映画感想「かぞくのくに」「愛の残像」「灼熱の肌」

「かぞくのくに」 25年ぶりに北朝鮮から病気治療のために帰国したソンホ。その彼が日本での家族とのひとときの交流を北朝鮮と日本の政治問題にはほとんど触れず描くいわゆる家族ドラマである。もちろん、その背景には未だ謎に包まれる北朝鮮の政治情勢や理…

映画感想「歌え若人達」「日本の悲劇」

「歌え若人達」 高度経済待っただなか、日本の大学生の青春群像劇で、これという派手な内容もメッセージもそれほど見えてこないきらびやかなオールスター映画でした。脚本が山田太一と木下作品としてはちょっと異色ですが基本的な演出に変わりはなく、四人の…

映画感想「今年の恋」「スリランカの愛と別れ」「ぼくたちのムッシュ

「今年の恋」 とにかく楽しい。こんなテンポのいい映画はそうざらにあるものではないですね。上級生に絡まれる青年たちのファーストショットから除夜の鐘を突くラストシーンまで間段無く繰り返されるしゃれたせりふの応酬と軽快な映像と音楽。これがモダンコ…

映画感想「今日もまたかくありなん」「新釈四谷怪談」「なつかしき笛

「今日もまたかくてありなん」 高度経済成長まっただ中のあるサラリーマン夫婦。一夏を自宅を上司に貸すことになり、妻は軽井沢の里へ帰る。そこで繰り広げられるなんとも奇妙なエピソードの数々なのだが、いったいなにをどう描いていくのかが突拍子もないく…