2013-01-01から1年間の記事一覧
昨日みた「ブッダ・マウンテン」が、思いの外よかったので、その前作であるこの作品を見に行った。 なるほど、こちらもそこそこのレベルの作品であるし、リー・ユー監督の才能が伺える佳作でした。手持ちカメラを多用した映像と、細かい編集を繰り返すカット…
「コールド・ウォー 香港警察二つの正義」 香港映画というのは本当におもしろいなと改めて感じる。決して芸術を追究しない姿勢の潔さが、何とも楽しいのだが、それでいて、退屈ということがない。最初のタイトルバックで、大勢の人物が紹介される。それも、…
「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 魔の海」 前作が、それなりにスピーディでおもしろかったのだが、今回はひどい。才能のない監督が3D映画を撮るとこうなるという典型的な作品だった。とにかく、物語に全くテンポがない。3D映像らしい部分があ…
「セイフヘイヴン」 いやぁ、この映画はよかった。ニコラス・スパークス原作のラブストーリーの中で、一番サスペンスフルな物語だと思います。いや、もしかしたら脚本に起こす段階で、そういう組立にしたのかもしれません。ストーリーの中にちりばめられた伏…
「ルームメイト」 結局、この手のサスペンス・ホラーミステリーの映画の原点は、ヒッチコックに行き着くということを証明したような作品でした。監督は古澤健である。麗子が行くいかがわしい店「ARIADONE」の扉の前には、「めまい」のタイトルバック…
「ばしゃ馬さんトとビッグマウス」 大好きな麻生久美子主演のラブコメディということで、かなり期待したし、友人の感想も抜群だったので、わくわく感で見に行ったが、ちょっとまどろこしすぎるストーリー構成と、ちょっと平凡すぎるせりふの連続、そして、背…
「雨月物語」 戦国の世の中の、人の生き様のものの哀れを、百姓の兄弟を通じて描く夢幻の世界。溝口健二監督の代表作であり、日本映画史に残る名作を、40年ぶりくらいでスクリーンで見直すことができた。すばらしい。宮川一夫のカメラの美しさはいうまでも…
「セブン・サイコパス」 ちょっとおもしろそうで期待して見に行ったのですが、確かにアイデアや、ストーリーの組立は不可思議で楽しいのですが、いつまでたってもリズムに乗ってこない為に、いつのまにか、ただ、めちゃくちゃなだけなの?とさえ感じ的始める…
「西鶴一代女」 溝口健二監督の最高傑作と言われる作品を、30数年ぶりに見直しました。最初に見たときの印象は、よかったという程度でしたが、さすがに、今見ると、そのすごさに圧倒されます。ワンシーンワンカットの長回しのカメラが、ただ、漫然と撮影し…
「女優須磨子の恋」 女優松井須磨子と島村抱月の恋物語を中心に描く。さすがに、田中絹代の熱演がとにかく目を引く。ストーリーは単純であるが、随所に、溝口健二ならではのワンシーンワンカットを挿入し、田中絹代の鬼気迫る演技をしっかりと見せる演出が、…
さすがに、これだけの傑作になると、細かい部分を指摘して、ああだこうだと言えない迫力がある。まるで、スクリーンにどっかりとあぐらを組んで、さぁ、見なさいと言わんばかりである。見たのは高校生の時で、その時でも、すばらしい映画だと思ったが、こう…
「グランド・イリュージョン」 宣伝フィルムをみていたときから、かなりおもしろいかという予感がしていたが、期待通りのおもしろさだった。ただ、悪く言うと、それ以上ではなかったのである。監督は、娯楽作品で名を馳せているルイ・レテリエであるが、彼の…
「HOMESICK」 PFFスカラシップ助成作品である。確かにマイナーな映画なので、こういう映像は仕方ないと思うが、スタッフが足りなかったとはいえ、もう少し照明に配慮した方がいいかなと思う。意図的かと思えばそうなのだが、ほとんど登場人物の顔…
「天国の門」(デジタル修復完全版) 30年ほど前に短縮版は見ているのですが、今回、再見。 膨大な製作費と公開後の不評でユナイティッド・アーチストを消滅させたマイケル・チミノ監督の歴史的な超大作が、ついに、デジタル修復され、しかも当初の公開の…
「デッドマン・ダウン」 「ミレニアム ドラゴンタトゥーの女」のニールス・アルデン・オブレブ監督作品なので見に行った。 いやぁ、これはおもしろかった。アメリカ映画のアクションのようなのだが、やはり色合いが違うところがとにかく引き込まれます。一人…
「カッコーの巣の上で」 さすがに、映画が終わった後、席を立てないほどの傑作でした。30年ぶりに見直した名作は、やはり名作だった。しかし、これほどの傑作が、なぜ、それほど心に残るほどの印象がなかったのか考えてみると、やはり、これは体制に対する…
「カイロ・タイム〜異邦人〜」 タイトルが終わると、一人の女性ジュリエットが、夫が待つはずのカイロにやってくる。夫マイクは国連の仕事らしく、ガザにいるのだが、カイロで妻と観光をするために呼んだのである。しかし、ついてみると、マイクはいなくて、…
「タンゴ・リブレ 君を想う」 ピアノの音楽と、たぶん、アルゼンチンタンゴの歌なのだろう、背後に流れる中、なにやら二人の男が一人の男を殺したらしいスローモーション映像、車の炎上するショットがかぶる。タイトルが終わると、J.C.と呼ばれる刑務所の…
市川崑監督の「鍵」を京都まで見に行った。 いやぁ、物語もめちゃくちゃにおもしろかったけれど、カットつなぎのリズムのうまさといい、さすがに市川崑の演出は見事、絶品でした。しかも、最後の最後、刑事の前で飄々と自白する北林谷栄の演技も最高。まさに…
「ゴースト・エージェント/R.I.P.D.」 いわゆるゴースト版の「メン・イン・ブラック」である。一人の警官ニックが、太った化け物を追いかけて、飛び出してくるファーストショットから映画が始まり、その3、4日前にさかのぼる。いかにもB級映画的な映像に…
「天使の処刑人 バイオレット&デイジー」 何とも不思議な映画だった。一見、美少女たちの殺し屋によるアクション系の映画かと思っていたが、いきなりのファーストシーンがすぎてからは、妙な会話の連続で、ひたすら、不思議でシュールな展開と映像が続く。…
「麗しのサブリナ」 何十年ぶりかで見直したビリー・ワイルダー監督の名作にして、オードリー・ヘップバーンの代表作ですが、さすがにすばらしい作品です。考え抜かれ、練り抜かれたロマンティックなせりふの数々、そして、決して、ほんのわずかなエピソード…
本当に品のよい映画である。画面の端正な美しさ、素朴な京都の風情を再現する、ゆっくりと流れるようなカメラワーク、御簾の隙間を出入りする人物の、どこか霞のかかったような映像。巨匠宮川一夫のカメラと、長回しの流麗なワンシーンワンカットで演出する…
「男子高校生の日常」 ベストセラーコミックの実写版であるが、実写になったことのメリットを最大限に生かした、とっても楽しい作品に仕上がっていました。舞台は山の中の男子校、女子と接することがほとんどない主要人物ダタクニ、ヨシタケ、ヒデノリの三人…
「死霊館」 久しぶりに一級品のホラー映画に出会いました。 題名だけをみると、いかにもB級の下手物ホラーに見えるのですが、全くそんなことはない。カメラのワーキング、編集、スピード感あふれるリズム感が見事な一本でした。所詮、下手物映画だろうと高…
「クロニクル」 「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」以来一種のジャンルになっている、ドキュメントタッチで描く映画、これもまたそういう一本である。主人公アンドリューが自分のカメラで生活を写し始めるところから映画が始まる。病気でベッドに寝ている母…
「アイス」 孤高の映画作家ロバート・クレイマーという監督の作品を初めてみる。フィクションでありながら、手持ちカメラの16ミリで描いていく映像は全く混沌としている。物語は近未来、様々な革命に身を投じる若者たちの、もがく姿を描いていくが、背景は…
溝口監督作品は、世界の映画史に燦然と輝くような大傑作があるかと思うと、非常に凡作そのものも存在するのが事実である。完全主義にこだわる彼の気質が生み出した、ある意味両党の刃であるのだろう。今回の作品もどちらかというと彼のライブラリーの中では…
めくるめく女の情念が交錯する溝口健二監督の世界をじっくりみることができる。もちろん、彼の作品群の中では傑作のレベルに入るものではないが、じっくりと長回しで撮るカメラワークと、セットをゆっくりと這うように移動する長大なパンニングは、やはりそ…
「ランナウェイ 逃亡者」 非常にストーリーの骨格がしっかりした脚本、そして、その中心になる骨格からぶれないストーリー展開で、じっくりと見せてくれる硬派の人間ドラマの秀作でした。なかなか、ロバート・レッドフォードはストーリーテリングの才能はあ…