くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2017-01-01から1年間の記事一覧

映画感想「われ一粒の麦なれど」

「われ一粒の麦なれど」 相当に重い内容と、今では絶対に作れないような描写をちりばめたドキュメンタリータッチ、そして、悪くいえば、かなりの偏りのある作品でした。監督は松山善三です。外に愛人を作り麻雀や賭け事を好む当たり前の農林水産省の役人の主…

映画感想「水面のあかり」「リベリアの白い血」「女の座」

「水面のあかり」 いわゆるインディーズのマイナー作品もたまに見るのもいいかと見にきて見たが、果たしてメジャーではないならもっと思い切ったことができないのかと思ってしまう。確かに技術はしっかりしているし、丁寧な演出がされている。勉強してきた監…

映画感想「エタニティ 永遠の花たちへ」「ギミー・デンジャー」

「エタニティ 永遠の花たちへ」 映画でしかなし得ないような三世代の家族の大河ドラマ。ピアノの旋律に乗せて、死を見送りながら展開する人生のドラマは感慨深いという感想がぴったりの心にしみる作品でした。監督はトラン・アン・ユンです。ヴァランティー…

映画感想「亜人」「ドリーム」

「亜人」 アクションシーンが抜群に面白いしスピーディ、しかも物語のテンポが実にうまく組み立てられていて、サスペンスの面白さも堪能できる。原作があるとはいえ、これは脚本のうまさと演出力が見事にマッチングしたという感じ。さらに演じた佐藤健も綾野…

映画感想「望郷」「ポルト」「いつも心はジャイアント」

「望郷」(菊地健雄監督作品) とにかく、陰に陰に沈んで行く映画でした。見ていて、イライラしてくる作品だった。湊かなえ原作なので、どこかにミステリーが存在するかと思ったが、「夢の国」「光の航路」という二部仕立てというだけの映画でした、参った。監…

映画感想「僕のワンダフル・ライフ」「セザンヌと過ごした時間」

「僕のワンダフル・ライフ」 今まで、こういう物語がなかったのが不思議なくらいですが、考えてみれば東洋的な宗教観なのかもしれませんね。飼い主に可愛がられた一匹の犬が転生を繰り返して元の飼い主のところに現れるというファンタジー。死んでも死んでも…

映画感想「花ひらく 眞知子より」「あさひなぐ」

「花ひらく 眞知子より」 市川崑監督長編デビュー作。カメラアングルのあちこちや画面作りのあちこちに市川崑監督らしいこだわりが見え隠れするものの、物語自体は時代色をくっきりと表した、中途半端なメロドラマという一本でした。ピアノコンサートの場面…

映画感想「ジュリーと恋と靴工場」「浦島太郎の後裔」「ユリゴコロ」

「ジュリーと恋と靴工場」 フランス映画のミュージカルというのはフランス語の独特の口調が心地よくて大好きなのですが、この映画もその点では御多分に洩れず楽しいリズム感のある作品でした。ただ、主人公ジュリーの心の成長がもうちょっと描けていたらもう…

映画感想「スイス・アーミー・マン」「秀子の應援團長」「ナミヤ雑貨

「スイス・アーミー・マン」 これはファンタジーなのかサバイバルなのかはたまた異常者の妄想なのか、なんともこういう感性の持ち主もあるのだなと感心してしまう一本でした。監督はダニエル・シャイナート。とある無人島、一人の男が首をつろうとしている。…

映画感想「プラネタリウム」「サーミの血」

「プラネタリウム」 お話の中心が見えない作品で、誰を追いかけていかないといけないのか全くわからないままにラストシーンを迎えた。ナタリー・ポートマンを目当てだけの映画鑑賞という感じでした。監督はレベッカ・ズロトブスキという人です。1943年、…

映画感想「山河あり」「スクランブル」

「山河あり」 第二次大戦より少し前、日本からハワイに移民した日本人家族の物語を大河ドラマ風に描いた作品で、冒頭の移民船のシーンからハワイでの苦労する姿の後は後半第二次大戦に進んでからは、どちらかというと反戦映画にも取れなくもない展開になって…

映画感想「秀子の車掌さん」「怪盗グルーのミニオン大脱走」「奥田民

「秀子の車掌さん」 たわいのないお話の映画ですが、やはり撮る人が撮るとなんとも楽しい映画に仕上がっています。小さなバス会社の運転手とバスガイドの物語をテンポよく描いて行く軽やかさがとっても爽やかな映画でした。監督は成瀬巳喜男です。一台しかバ…

映画感想「あさがくるまえに」「俺たちポップスター」「50年後のボ

「あさがくるまえに」 映画としてなかなか見せてくれる作品でした。絵作りが実に上手いので、どんどん引き込まれていきます。監督はカテル・キレヴェレという人です。明け方前のベッドで恋人たちがまどろんでいる。男性が起き上がり、窓から下に飛び降りる。…

映画感想「草原に黄色い花を見つける」「オン・ザ・ミルキー・ロード

「草原に黄色い花を見つける」 カメラアングルがとっても美しく、井戸とクレーンを使ったアメリカ的なカメラワークが流麗で、私的な作風が光る作品でした。ただ、脚本のエピソードの組み立てがもう1つ良くないので、途中で中心になる物語が外れるのがとって…

映画感想「心中天網島」「復讐するは我にあり」

「心中天網島」 何十年ぶりかで見直したが、やっぱり素晴らしかった。モノクロームのスタンダード画面いっぱいに筆で書かれた文字が取り囲み、格子を巧みに使った空間づくりと黒子を配した独特の舞台演出のような映像世界が展開。まさに篠田正浩監督の代表作…

映画感想「スキップ・トレース」「エイリアン コヴェナント」「神様

「スキップ・トレース」 レニー・ハーリン監督作品ということだけで見に行ったが、どちらかというとジャッキー・チェンの映画だった。とりとめもない展開の連続とどちらかといえば観光映画的な楽しみを見る作品という感じで、これというストーリーはないのか…

映画感想「ナインイレブン 運命を分けた日」「ダンケルク」

「ナインイレブン 運命を分けた日」 9・11テロ襲撃事件の時、ビル内のエレベーターに閉じ込められた人々を描いた人間ドラマですが、映画としては普通でした。閉じ込められた人々の人間ドラマがしっかり描き切れていないし、それぞれの背景が不十分なので、物…

映画感想「アメイジング・ジャーニー 神の小屋より」「あしたは最高

「アメイジング・ジャーニー 神の小屋より」 手短に書けば宗教映画です。悩んで、悲嘆のどん底にいる主人公が神に癒されて再生する話。描き方によればファンタジックで素敵な映画になるところですが、この映画の最大の弱点は、どん底に落ちた主人公の描写が…

映画感想「ダンケルク」「三度目の殺人」

「ダンケルク」 IMAXで見た。凄い。クリストファー・ノーラン監督の真骨頂というか、彼の才能を目の当たりにした出来栄えでした。映画の作り方の1つの到達点かもしれません。主人公は誰という人物中心のストーリー構成にせず、映像と時間軸のみで描き切…

映画感想「トリュフォーの思春期」「散歩する侵略者」

「トリュフォーの思春期」 瑞々しさと初々しさが弾けるような素晴らしい一本の映画、そんな形容がぴったりな素敵な映画でした。監督はフランソワ・トリュフォーです。一人の少女が絵葉書を買いに店に入り、その絵葉書をポストに投函するシーンから映画が始ま…

映画感想「西遊記2妖怪の復讐」

「西遊記 2 妖怪の復讐」 前作はチャウ・シンチー監督で、ギャグ満載ながらも若干物足りなさを覚えたが、今回は製作に回り監督はツイ・ハーク。さすがに豪快すぎるスケールの大きさに下手なハリウッド大作よりよっぽど面白い仕上がりになってました。一方で…

映画感想「ザ・ウォール」「身も心も」

「ザ・ウォール」 登場人物がほとんど一人という異色の戦争サスペンス。終始一人の主人公のセリフのみで展開する面白さがなかなかの一本。監督はダグ・リーマンです。イラク戦争の勝利宣言をした矢先、二人のアメリカ軍兵士アイザックとマシューズが、敵に狙…

映画感想「おしゃれ泥棒」「新感染 ファイナル・エクスプレス」「新

「おしゃれ泥棒」 作劇の面白さというのはこういう映画をいうのでしょうね。昔は良かった、というのは良くないかもしれないですが、少なくとも昔も良かったのです。洒落た映画作りの基本がこういう作品にあるなと思います。40年ぶりくらいですが、良かった…

映画感想「きっと、いい日が待っている」「関ヶ原」

「きっと、いい日が待っている」 シリアスで暗い物語ですが、影絵のような美しい景色のカットをふんだんに取り入れ、しっかりとした映画的な構図も取りながら丁寧に描いて行くなかなかの力作という一本でした。監督はイェスパ・w・ネルスンという人です。施…

映画感想「裁き」「リボルバー」

「裁き」 インド社会の姿を様々な視点から組み立てて行く姿は独特で面白いし、それが迫真の法廷劇となればその展開は興味津々。そのアイデアだけでも特筆の一本ですが、映画のリズムとしてはどうも合わなかった。監督はチャイタニヤ・タームハネーという人。…

映画感想「ジャック・ドゥミの少年期」「ワンダーウーマン」

「ジャック・ドゥミの少年期」 なんか素敵な映画ですね。余命いくばくもなくなった夫の少年時代の姿を妻が映画に収める。もちろん、子供時代は役者がやっているわけですが、映画への思いが詰まった夫の若い時代を描く妻の姿が目に映るようです。監督はアニエ…

映画感想「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」「3つのボタン」「

「ボブと言う名の猫 幸せのハイタッチ」 もっと平凡な映画かと思ったが、意外に楽しく作られた作品で、面白かった。まぁ、猫の功績が大きいかもしれない。監督はロジャー・スポティスウッド。ヤク中で、更正中の主人公ジェームズがホームレス生活をしている…

映画感想「ローラ」(ジャック・ドゥミ監督版)「幼な子われらに生まれ

「ローラ」(ジャック・ドゥミ監督版) 恋が溢れている素敵なラブストーリーの珠玉の一編。とにかくおしゃれでロマンティックなヨーロッパ映画の世界観を堪能できる名作ですね。監督はジャック・ドゥミです。海辺の町、物語が幕を開けると一人の男性ローランの…

映画感想「パターソン」「天使の入江」「エルELLE」

「パターソン」 とっても静かで淡々とした物語なのに、どんどん引き込まれて、このしゃれた世界の中に取り込まれてしまう。まさにジム・ジャームッシュの世界感。とっても素敵な映画でした。偉大な詩人を生み出したパターソンという町に住むバス運転手のパタ…

映画感想「5時から7時までのクレオ」「道」(蔵原惟繕監督版)

「5時から7時までのクレオ」 なんともセンスのいい映画です。シンプルな物語ですが、一つ一つの映像のカット、そこに至るカメラワーク、リズムセンスと音楽。どれもが才能のなせる技だなとため息が出てしまう。素晴らしい一本、そんな作品でした。監督はアニ…