2020-01-01から1年間の記事一覧
「ウルフズ・コール」 フランス製の潜水艦映画ですが、これがなかなか面白かった。潜水艦同士の丁々発止というより、一昔前の一触即発の核戦争の恐怖を描くというオーソドックさも面白いし、主人公たちがヒーローとなっていく展開も素直に楽しめた。監督はア…
「浅田家!」 うまくまとまった素敵な感動作でした。それとなく構成された泣の場面も嫌味がなく、全体の流れもほのぼの感を最後まで外さない。そしてラストの仕上げも良い。前作ほどではないですが良い映画でした。監督は中野量太。 浅田家の父章の葬儀の日…
「魂のジュリエッタ」(4Kリマスター版) 監督はフェデリコ・フェリーニ。ということなので、全編カーニバルです。ストーリーは、夫の不倫疑惑に悩む主人公ジュリエッタの幻想とも現実とも言えない心の揺れ動きが、独創的、万華鏡のような映像の氾濫で描かれて…
「フェアウェル」 実話に基づいたウソというテロップから始まるこの映画、たしかに、コテコテの中国映画ではなく、アメリカで育った監督の視点で描いたアメリカ映画である。描くところは、がん告知の話ですが、サラサラと水が流れる様に展開していく素朴感が…
「ある画家の数奇な運命」 これはいい映画でした。三時間を超えるのに眠くならない。それがクオリティの高さの証明でもあります。美しいカメラと、芸術的な演出の数々、ストーリー展開の緻密さと、気付かせないほどに作り込まれた映画のリズムにため息が出て…
「ミッドナイトスワン」 これは思いの外良かった。前半はありきたりの展開と普通の映像で流れていくのですが後半どんどん深みが加わってきて、終盤は引き込まれラストは涙が自然と溢れてきました。監督は内田英治。 トランスジェンダーの凪沙がいわゆるオカ…
「アダムス・ファミリー」(アニメ版) 半分時間潰しで見たのですが、これが意外に面白かった。アニメの造型も楽しいし、ストーリー展開も毒ありブラックユーモアあり、現代風刺ありともりたくさんに楽しめる。ラストは今時らしくちょっと考えさせられるのもい…
「甘いお酒でうがい」 小品ですがちょっと素敵なハッピーになれる映画でした。若林ちゃんを演じた黒木華が抜群に良くて、彼女が映画のレベルを上げた感じです。映画館を出る時笑みが溢れてました。監督は大九明子。 主人公佳子が出社するのに靴を履いている…
「青春群像」 なるほどと言えるいい映画ですね。めくるめく様な夢見心地にさせられる青春ストーリー。ラストのベッドの場面が交錯するシーン、バッチリ決まった見事な画面の構図に引き込まれてしまいます。監督はフェデリコ・フェリーニ。 海辺の街で、ミス…
「恋する惑星」 とっても洒落た映画で、二つのラブストーリーをめくるめく様なテンポで描いていく。監督はウォン・カーウァイ。 一人の刑事223号が犯人を追っている。途中、金髪にサングラスの女性とすれ違う。223号は最近メイという女性と失恋をし、もう一…
「鵞鳥湖の夜」 噂通りの傑作でした。ハイスピードなストーリー展開とカメラワークの見事さ、さらに光と影を縦横無尽に使った映像演出に引き込まれてしまいました。監督はディアオ・イーナン。 深夜の高架下、一人の男チョウが佇んでいる。そこへオーバーラ…
「ポネット」 シンプルでピュアな詩篇のようなファンタジックな映画でした。映画としてずば抜けて優れた出来栄えに見えないのですが、淡々と綴っていく一人の少女の全くの澱みのない物語は胸を打たれます。監督はジャック・ドワイヨン。 一人の少女のポネッ…
「女優 原田ヒサ子」 原田美枝子が、自らの母を捉えた短編ドキュメンタリー。認知症が進んだ母、原田ヒサ子が自らの娘原田美枝子を語り出す。 原田美枝子の母原田ヒサ子が普通に若い頃から映画に出ていたと語り出す。原田美枝子の娘や息子が協力するいわばホ…
「ブリング・ミー・ホーム 尋ね人」 韓国映画らしい陰気で陰湿な映画でしたが、伏線やフェイクもしっかり効いていたなかなかの佳作でした。ただ、いつものことながら、韓国の警官ってアホやし、独特のハングル語の下品さはやはり私にはあいません。監督はキ…
おもしろかった。時間テーマをこういう風に小道具に使うという発想が見事。一瞬混乱しかけるのですが、それは人間がまだ完全に未知な存在としての時間に対する既成概念があるからで、物語は一昔前のB級SFのようなシンプルな話。その軸の話にいかに早く行…
「チィファの手紙」 岩井俊二監督が「ラストレター」を発表する前に、同じ原作で中国で描いた作品。展開もカメラワークもアングルもほとんど同じで、役者が変わっただけという感じの映画でした。 主人公チィファの姉チィナンの葬儀の場面に始まり、そこへチ…
「ミッドウェイ」 日米両側を公平に描き、日本の横柄さを誇張するわけでもなく、アメリカの有意さを見せるわけでもなく、いかにアメリカも真珠湾攻撃で追い詰められたかもちゃんと描いている演出は良かった。いい映画になっていたという感じです。監督はロー…
「マイ・バッハ 不屈のピアニスト」 二十世紀最高のバッハ演奏家と言われているジョアン・カルロス・マルティンスの半生を描いたいわゆる不屈の音楽家の物語ですが、いかんせんあれもこれもと描こうとしたためにかなり長く感じ、さらにピアノシーンが何度も…
「海の上のピアニスト」 先日見た4K版より約五十分長い日本初公開版を見る。当初公開されたものは時々感情の流れが途切れたり飛んだりする印象が気になってましたが、今回の長尺版はその辺りはスムーズに流れます。私個人としてはこの長尺版の方が作品として…
「mid90s ミッドナインティーズ」 これは良かった。まず音の使い方が抜群に良い。国は違うけれど、かつての自分達の少年時代と全く変わらない世界があった。しかも映像のリズムがいい上に、少年たちの心の温かさが切々と伝わってきて引き込まれてしまいまし…
「おかしな奴」 昭和初期に活躍した実在の落語家三遊亭歌笑の半生を描いた作品で、全体が丁寧に物語を追っていく一方で、芸達者が繰り広げる落語の世界も面白い逸品でした。監督は沢島忠。 子供の頃から顔立ちがユニークでみんなから馬鹿にされて大きくなっ…
「喜劇 急行列車」 たわいのないプログラムピクチャーで、気楽に見れるコメディですが、構成はしっかりしているのはなかなかのものです。監督は瀬川昌治。 東京から長崎に向かう急行列車、専務車掌の青木が乗り込んで、列車の中で起こる様々なエピソードを綴…
「宇宙でいちばんあかるい屋根」つ うーんとなんともまとまらない映画だった。いろんなエピソードがなぜ入ってくるのかはっきり見えない上に、キーになる星ばあの桃井かおりがなんとも汚らしくて映画のファンタジックさを潰している感じで残念。上手く作れば…
「青くて痛くて脆い」 なんともひどい映画だった。原作が悪いのか、脚本が悪いのか、監督の演出が悪いのか、役者が悪いのか、どこへ向けたら良いのかわからないくらい、どれもこれもが薄っぺらくて見ていられない。途中まで我慢すればと頑張ったが結局よくも…
「勝負をつけろ」 やっちゃいました。去年見た映画を気が付かずにまた見てしまった。クライマックスの地雷除去シーンあたりからなんとなく思い出して、そのあとの場面で確信、一緒に見ていた友達も終わり辺りまで気がつかなかった。監督はジャン・ベッケル。
「ごん」 ごんぎつねのストップモーションアニメ。繊細な表現で、今までタブーとされてきた水とススキを描くことにチャレンジ。懐かしい童話の世界観と優れたテクニックに引き込まれる三十分でした。監督は八代健志。 物語は今さらいうまでもないので書かな…
「幸せへのまわり道」 ミニチュアの街並みなどを多用し、子供番組と現実を交錯させながら不思議な演出で描いて行くヒューマンドラマですが、トム・ハンクスの好演もあり、しみじみと染み渡る人間ドラマに仕上がっていました。最近はこの手の人生ドラマにのめ…
「オフィシャル・シークレット」 なんか後味が悪い。ポリティカルサスペンスなのだが爽快感はない。実話だからというリアリティもない。主人公にどうも感情移入もできない。そんな映画だった。正義感を貫いたというヒーロードラマなのに、賞賛できないという…
「ジェイド・ダイナスティの破壊王、降臨。」 典型的な三流香港娯楽映画という感じの一本でしたが、クライマックスのCG満載のスペクタクルシーンはなかなか面白かった。監督は「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」のチン・シウトン。 両親を殺されて孤児…
「グッバイ、リチャード!」 ちょっと面白い映画でした。余命いくばくもなくなる主人公の話ですがジメジメしないし、命ってこんなものかというドライさと、ブラックコメディのような展開、それでいてあったかくなる人間ドラマ、映像の妙味を楽しめる映画でし…