くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「スリーデイズ」

スリーデイズ

フレッド・カヴァイエ監督が2008年に作った「すべて彼女のために」のリメイクである。基本的なストーリー展開はもちろん、プロットの組み立て、登場人物のキャラクターもほとんど同じであるが、オリジナルの脚本を基にしたポール・ハギスのリメイク脚本も実に丁寧にオリジナルの見所をキャッチして秀逸なできばえになっている。そして、それに基づいたポール・ハギスの演出もオリジナルに負けないくらいスピーディで緊迫感あふれる展開で手に汗握る面白さがあります。

オリジナル版同様、暗い画面に主人公のジョンが車を走らせているシーンに始まります。誰かを乗せているようですが、その男は瀕死で、まもなく死んでしまう。そして物語は3年前に。このあたりもオリジナルと同じですね。
そして、ある日突然妻が逮捕され、真犯人が見つからないままに20年の刑が確定、どうしようもない夫はある計画を立て始めます。

脱獄の名人をネットなどで探し出し、その男のアドバイスを元に脱獄計画を立てていく。壁一面に張られた逃走計画などのシーンもほとんどオリジナルと同じで、この計画完了から一気にクライマックスの逃走シーンが手に汗握る見事な展開へと進んでいくさまは実に面白く、一瞬たりとも目を離せません。すんでのところで次々と危機を乗り越えながら予定通りベネズエラへ到着。真犯人の手がかりをつかみかける3年前の捜査をした刑事のショットをわずかに挟み込んでささやかな希望を持たせながら映画は終わります。

オリジナルに酷似しているというほどのできばえですが、やはりフランス映画とアメリカ映画の違いでしょうか、どこかスピード感や細かいカットつなぎが微妙に一般娯楽映画的と思えなくもありませんが、このリメイク版もかなり面白いです。ただ、難をいうとクライマックスまでのシーンがオリジナル版もそうですが、やや長すぎるというか凡々としすぎているような気もします。この辺をもう少し思い切った演出で突っ走ってくれたらもう少し奥の深い面白い作品になった気もします。