くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「メリー・ポピンズ」「ガッチャマン」

メリーポピンズ

メリー・ポピンズ
言うまでもない、人間とアニメの合成シーンが有名なウォルト・ディズニーの名作ミュージカル。
30年ぶりくらいで午前10時の映画祭で見直しました。

俯瞰でとらえるロンドンの町並み。明らかに絵であると思えるような風景と、空にかかる雲が写され、雲の一カ所に一人の女性、つまりメリー・ポピンズが座っているというこのタイトルバックがまず素敵である。そして、カメラがその女性によると、なにやら雲の上で化粧をしている。このオープニングはすばらしいですね。

物語は地上で大道芸人のバートがチンドン屋風の楽器を担いで歌い踊る場面から始まる。

セットを効果的に利用し、映像技術のすべてをそそぎ込んだようなファンタジックなシーンの数々。風に乗って空を飛んでくるメリー・ポピンズのシーン。風に吹き飛ばされる乳母希望の女性たちのシーン。もちろん、絵の中に入ってアニメの動物と遊び歌い踊る名場面など数え出したら霧がない。

東の風とともにやってきたメリー・ポピンズが、銀行員の厳格な父の元でちょっと殺伐とした毎日を暮らす子供たち、強いては家族にもう一度夢を与えて、風が西に変わるとまた帰っていく、ほんのひとときの夢の世界を、美しいアニメとセットで描ききったまさに名作。

ジュリー・アンドリュースのミュージカルとしては「サウンド・オブ・ミュージック」がダントツにすばらしいと思いますが、この「メリー・ポピンズ」もとってもチャーミングな映画、さすがディズニー映画と思わせる。

ただ、正直なところ、煙突掃除のあたりからやや間延び気味になっているストーリーテリングが気になると言えば気になる。難を強いて言えばあのあたりですね。

でも、ジュリー・アンドリュースの名曲の数々のみでなく、バートを演じたディック・ヴァン・ダイクの軽快なダンスにも目を見張る。これが映画、これが夢の工場だったアメリカ映画の全盛期の姿だろうとうっとりするのです。


ガッチャマン
いうまでもなく、タツノコプロの名作アニメの実写版である。

特にオリジナルアニメのファンというわけでもないので、こだわりはないのですが、相対的な感想としては、大人のドラマにするべく必死でもがいて、ただただその部分がしつこく、くどくなった作品になっていた気がします。こだわりすぎて懲りすぎた「キャシャーン」と、思い切りおちゃらけにした「キューティ・ハニー」との中間的なできばえだったかなと思います。

仮面ライダー的な安っぽい特撮にはなっていないし、それなりに工夫も見られるのですが、健とジュン、さらにジョー、そして、過去のナオミとのラブストーリーというか、確執のある人間ドラマのシーンになると、やたらだらだらとアップで展開する。そんなものどうでも良いんじゃないのとため息さえ出るほど、いろんなパターンが登場するくだりはなんともまいった。

冒頭で、彼らを紹介し、ギャラクターが送り込んだ巨大兵器に立ち向かう場面で、「スパイダーマン」よろしく、ビルの谷間を縦横無尽に飛び回るスピーディなシーンはそれなりに楽しめるのです。もちろん、安っぽいといえばそれまでですが、でもここが最初のつかみの部分だと考えればそれはそれでよかったと思う。

問題はその後、いったん、基地に戻った彼らが、過去の出来事や、陳腐な恋物語を繰り返し、ふざけあうシーンがしつこい。さらに、ジョーが参加してきて、過去の確執まで絡み始めると、せっかくのストーリーの中心になるカークランド博士が開発した最終兵器とも呼べる宇宙兵器がギャラクターに支配され、地球の危機を救うべく命を懸けて立ち上がるクライマックスのスペクタクル性が完全にぶち壊しになってしまった。

明らかに、脚本の組み立ての弱さに、俳優陣の貫禄のなさが重なって、それでも必死で語る大人のドラマへの固執がなんとなくまじめに見えて、まぁ、おちゃらけにもならずに済んだ感じ。これをくだらないと見るか、面白いと見るか、微妙な映画だった。さらに第二部をにおわせるエピローグがあったが、とてもそれは無理でしょう。