くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ダーク・ブラッド」「乱暴者を求む」「パラード」

ダーク・ブラッド

「ダーク・ブラッド」
リヴァー・フェニックスの遺作として、突然公開された一本ですが、未完成作品です。抜けている部分は、ストップモーションと監督のナレーションでカバーしていますが、結局どういう話なのかわからずじまいでした。

映画は、映画スターのハリーとその妻バフィが撮影場所へ車で向かっていますが、途中で車の調子が悪くなる。近くのモーテルにたどり着き応急処置をして出かけるも再び、途中で車が止まってしまう。

夜、彼方に明かりを見つけたバフィが、その場所に行くと一人の青年ボーイが犬と住んでいる。なぜか執拗に二人を送り出そうとしない様子に、だんだん焦ってきたハリーたち。いったいこのボーイとはなんなのかという謎のままにストーリーらしきものが展開。

とうとうハリーとボーイは喧嘩になり、誤ってハリーはボーイを斧で殴り殺す。そこへやってきた地元の保安官だが、どうもインディアンのようだ。そのまま、ハリーたちは自分の車で彼方へ走り去りエンディング。

舞台が、核実験でかつてにぎわったという町の一角という設定に、何か意味もあるのだろうが、結局わからずに終わった。未完成な映像なので、作品としての善し悪しは判別できない。?そんな映画でした。


「乱暴者を求む」
ジャック・タチ映画祭で、見に行きました。フランスのコメディエンヌで映画監督としても独特の作品を発表した人で、この作品は彼が脚本を書いた短編です。
プロレスの試合に出る選手を模索するプロデューサーと、映画出演を目指す俳優とのコミカルなシーンが展開するたわいないコメディで、アメリカン喜劇とはちょっと色合いの違う笑が散りばめられた作品というのが目新しい一本でした。

映画は、とあるプロレス試合のプロデュースをするオーナーの事務所。力自慢たちが集まってきて、たわいのないやり取りが展開。ここに、売れない役者がひとり。ある記事で選手を求むという内容に釣られてオーディションへ。ところが相手は、名だたる強敵で、それを知った応募者は全て辞退。残った俳優が試合に出ることに。

ところが、ここに来て、彼に出演依頼が来たために、それに間に合わせるために、試合をあの手この手で有利に導くため奔走するマネージャー。
そして、見事勝って、めでたしめでたし。


「バラード」
サーカスの行われる小屋を舞台に、観客と舞台のやり取りを、おそらく全て演出して展開するコメディで、「フェリーニの道化師」のような作品に近い。

サーカス小屋の正面の上に鮮やかなタイトルが浮かび上がり映画が始まる。

色鮮やかな装いの観客たちが次々と小屋に入り、いよいよサーカスの始まり。
演目の中で、次々とコミカルな舞台が展開し、観客席でも、思わず噴出すようなエピソードも散りばめられる。そして、やがて舞台と観客席を交互にカメラの視点で捉えて行くストーリー展開。

やがて、サーカスも終わり、役者たちが去った後、観客席の幼い二人の子供が、散らばったサーカスの小道具などに戯れる。

カメラはゆっくりと外に出て、オープニング同様のカメラアングルでエンディング。

軽快に次々と写されるコミカルなシーンは、いったい、サーカスの芸なのか、映画の演出なのかその境目が見えない。おそらく、全てがジャック・タチの演出であり、彼の芸でもあるのだろう。観客の服装の鮮やかさ、写真で観客を作った演出などなど、美しい色彩演出の醍醐味と、テンポの良い音楽と映像のコラボレーションがとってもセンスが良く、しゃれたコメディ映画になっている。必見の値打ちが十分にある一本でした。