2022-01-01から1年間の記事一覧
「ディア・ハンター」 午前十時の映画祭、三回目の鑑賞ですが、やはり名作ですね。ビルモス・ジグモンドの美しいカメラも絶品ですが、登場人物それぞれが見事に描き分けられているし、反戦映画ではあるものの、青春映画としての側面もさりげなく画面から漂っ…
「RRR」 本来はもっと長い作品なのだろう。相当にカットしてあるようで、おいおいと思うシーンの展開が散見されるので、ストーリー構成がアンバランスだし、主人公となる中心人物の物語が、あっちこっちに転がるのは如何ともし難い。クオリティよりも娯楽と…
「窓辺にて」 これは良かった。まるで、透明なガラスの上に貼られた一本の絹糸の上を歩いていくような研ぎ澄まされた繊細さに彩られたセリフの数々、そしてそのセリフをまるで協奏曲のごとく紡いでいく映像演出、そしてそのリズムに引き込まれる映画でした。…
「新宿馬鹿物語」 可もなく不可もない、たわいない人情コメディで、新宿歌舞伎町のバーで繰り広げられるてんこ盛りのエピソードが芸達者な役者たちによって淡々と展開する様は実に面白い。監督は渡辺裕介、脚本は神代辰巳。 第二次大戦開始間も無くの時代、…
「チケット・トゥ・パラダイス」 思いの外いい映画でした。アメリカ映画らしい陽気で明るいラブコメディという感じで、ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツの熟年の魅力が等身大に描かれていてとってもいい感じになっているし、小さなトラブルを絶妙の…
「薮の中の黒猫」 終盤がちょっと間延びして行く上に、ストーリーが、前半の展開、中盤の展開、終盤の展開と一貫性が崩れていく流れが気になる映画でした。特にクライマックスはただの怪談映画で終わった感がある。監督は新藤兼人ですが、ちょっと出来は良く…
「おっぱいとお月さま」 これといって秀でた作品ではないですが、音楽がなかなか心地よい映画でした。ちょっと変態的な子供と変質的な青年、変態女という奇妙な三角恋愛ドラマがなんとも奇妙なファンタジー作品。監督はビガス・ルナ。 村のお祭りでしょうか…
「魅せられて」 初公開以来の再見。監督はベルナルド・ベルトルッチですが、彼の作品としては中の下くらいの出来栄えで、初めて見た時もそれほど印象に残っていませんでしたが、今回もそれほど感銘しませんでした。どちらかと言うとリヴ・タイラーのスター映…
「アムステルダム」 確かに面白い。歴史の史実をベースにした作品で、どこまでが史実でどこまでがフィクションかと思わせるが、非常に入り組んだ作劇になっているので油断するとついていけなくなる上に、同じ重要度を持った登場人物が目白押しに出てくるので…
「われ幻の魚を見たり」 明治時代、十和田湖で鱒の養殖に成功した和井内貞行という人物の半生を描いたいわゆる偉人もので、監督は伊藤大輔ですが、ちょっと場違いなジャンルだった感じで、どこかギクシャクしていました。それでも、こういう人物がいたという…
「百合の雨音」 ROMAN PORNO NOWの三本目。目眩く女同士の恋物語を、映像を駆使して描いた小品と追う感じの映画。可もなく不可もなしの仕上がりはちょっと物足りないのですが、ロマン・ポルノらしいラブストーリーという感じの作品でした。監督は金子修介。 …
「夜明けまでバス停で」 どこか掴みどころのない、消化しきれない映画でした。一昔前のエピソードの展開とキャラクター設定がわざとなのかと思っていたが、結局最後まで意図はわからなかった。コロナ禍の世界で何を描きたかった?という感じの作品。監督は高…
「豪傑児雷也」 トリック撮影を駆使した、いわば娯楽時代劇。主人公児雷也が消えたり現れたり、ガマになったりと、短編ながら見せ場の連続を楽しむ作品。まだまだ映像表現が単調ですが、エンタメの基本が詰まっています。監督は牧野省三。 道端である親子の…
「暴力脱獄」 一見どうやって展開していくのかと思いましたが、どんどん映画が動き出していって、只者ではない流れに乗ってしまうと、あとは圧倒される連続になっていきます。評価されるだけはある傑作でした。これが映画を作るということですね。監督はスチ…
「七人樂隊」 七人の香港の監督が描くオムニバスドラマで、1950年代から未来までを描く。それぞれの個性というより、それぞれが香港へ想いを寄せる姿を描く感じの映画でした。 稽古 サモ・ハン監督 必死にカンフーの稽古に励む若き日のサモ・ハンをモチーフ…
「バビロン」 レゲエムービーということなのでほとんど理解できなかったが、極端な黒人差別の中、音楽にのめり込む若者たちの姿というバイタリティは感じることができた。監督はフランコ・ロッソ。 サウスロンドンに住む青年ブルーは、整備工として働きなが…
「MONDAYS このタイムループ上司に気づかせないと終わらない」 大傑作ではないんだけれども、とってもかわいい小品なのだけれども、楽しい。こういう素直に感動させようとノリとツッコミで走っていく映画は大好きです。粗もあるのですが、役者陣がなかなか個…
「カラダ探し」 この手の映画にクオリティを求めてはいけないので、まあ、ツッコミまくりのストーリー展開は許すとしましょう。登場人物の描き分けが全くできていないので、一体誰がどうなのか全く見えない雑さはさすがに許せない。ただ、画面の構図自体は映…
「プリンセス ダイアナ」 1981年チャールズ皇太子との婚約から1996年の死までを描くドキュメンタリー。どちら側からでもなく、ストレートな映像で綴った画面は素直にこちらに出来事が伝わってきて好感なドキュメンタリーでした。監督はエド・パーキンズ。 手…
「8 1/2」 何回見ただろうか、フェデリコ・フェリーニの作品の中で大好きな一本。また見にきました。何回見ても恐ろしいほどの傑作です。現実か幻想か、過去か現代か、何もかもが一つの映像詩となって圧倒的な迫力で映し出されて行く画面が見事です。一見、…
「ザ・コントラクター」 なんとも単純明快なアクション映画だった。なんの捻りも工夫もなく、原因が分かればそれに対処していくだけのストレートな展開はある意味心地よい。B級アクションはこれでいいのではと思います。そんな一本だった。監督はタリク・サ…
「ソングバード」 ウイルスのなんたるかとか、感染力のなんたるかは完全に無視して、アメリカ映画らしい適当感満載の、しかもツッコミどころ満載の映画でした。お世辞にも面白いとは言えないB級感のてんこ盛りには参ってしまいますが、逆に言えば肩が凝らな…
「愛してる!」 ROMAN PORNO NOW企画第二弾。日活ロマンポルノ全盛期の、しっかりとしたテーマをブレずにエロスで描くというスタンスがはっきり見える秀作。SMテーマを、人間の素顔を覆い隠す現代の矛盾というテーマに重ねて展開させるストーリーは、なかな…
「四畳半タイムマシンブルース」 森見登美彦のファンということもあり、アニメ作品なので予定はしていなかったけど見に行った。これが意外に掘り出し物、絵がオリジナリティあってとっても綺麗だし、タイムトラベルものらしいさりげないごちゃごちゃ感から生…
「アイ・アムまきもと」 同じ原作となる英伊合作映画「おみおくりの作法」もなかなかの佳作でしたが、今回舞台を日本に移したこともあり、ストーリー展開の構成が上手く処理され、身近に感じて泣いてしまいました。阿部サダヲが良かったのかもしれません。監…
「1950 鋼の第7中隊」 国連軍と中国人民志願軍が激突した長津湖の戦いを描くスペクタクル。とにかく全盛期のソ連映画を見るような物量映像とCGの氾濫を楽しむだけの映画で、3人の監督がそれぞれパートを分けて作ったものを一本にした感じで、主人公のドラマ…
「ドライビング・バニー」 何の解決もないままのアンハッピーエンドの映画。さすがに辛いですね。ストーリーの構成は面白くできているけれどラストはもうちょっと練って欲しかった。結局主人公のバニーが悪くなかったのだと言いたいけど、周囲に潰されて終わ…
「家族の肖像」 ほぼ五年ぶりの再見。何度見ても根底にある知性が溢れ出すセリフの数々と、完璧すぎる映像に魅了されますが、まだまだ凡人のわたしにはこの映画の真価は計り知れないものかもしれません。素晴らしい傑作ですね。監督はルキノ・ヴィスコンティ…
「秘密に森の、その向こう」 とにかく映像が抜群に綺麗。森の緑、紅葉、小屋の佇まいがまるでファンタジー、確かに物語はファンタジーなのですが、双子でしょうか、主人公の少女二人もキュートで可愛い。一人の少女の心の動きの一瞬を描いたとっても素敵な映…
「あなたと過ごした日に」 公衆衛生専門家エクトル・アバド・ゴメス博士の半生を描くのですが、なんとも物語の構成にメリハリがないのと、今何が起こっているのか全く説明しない脚本で、とにかくダラダラと長い。映画自体は誠実に丁寧に描かれているし、一見…