くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」「ビルビリー・エレジー 郷愁の哀歌」「アイ・キャン・オンリー・イマジン 明日へつなぐ歌」

ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」

スタジオライカストップモーションアニメ。ゴールデングローブ賞受賞作品。の割には普通のアニメーションでした。CGかと思うほどスムーズに動くストップモーションアニメの凄さはあるのですが物語がシンプルで、悪くいうとありきたりだった気がします。監督はクリス・バトラー。

 

冒険家のライオネル卿が恐竜の写真を撮るために湖にやってきている場面から映画は始まる。現れた恐竜の写真は撮るが相棒が食べられたので、彼を助け出したものの恐竜の尻尾に叩かれてカメラが壊れる。探検家クラブでも信じてもらえず、たまたま自宅に届いたビッグフットの存在を示す手紙で、それを追い求め見つけたらクラブに入会を許可してもらうことで探検に向かう。

 

そしてやってきたところ意外にあっさりビッグフットに出会う。そしてビッグフットの希望でヒマラヤ奥地シャングリラにいる親戚のイエティに会いたいという望みを叶えるために、友人の妻アデリーナの持つシャングリラへの地図を手に入れる。

 

そしてシャングリラを目指すが、クラブのリーダーは彼が成功することを望まず、暗殺者を送ってくる。ライオネル卿は遠路インドにたどり着き、シャングリラにいくがそこは頭の硬い一族が支配していた。彼らは秘密を守るためライオネル卿らを拉致する。ライオネル卿らはそこに希望がないと判断し、脱出して映画は終わっていく。

 

エピソードそれぞれの場面にそれほどすごい映像もアニメもなく、物語もシンプル、しかもライオネル卿を追ってくる殺し屋も、クラブのリーダーも、さらにシャングリラの王もそれほど個性的な存在感が見えない。何故ゴールデングローブ賞を取ったのか疑問に思うほど普通のアニメでした。

 

「ビルビリー・エレジー 郷愁の哀歌」

いいドラマだし、役者もしっかりしているのですがNetflix配信映画の域を出ない。画面が映画的ではないという感じです。ただ、やはりしっかり演出され、ぐいぐい引き込まれる迫力はさすがでした。監督はロン・ハワード

 

主人公J.D.の少年時代から映画は幕を開ける。今はオハイオ州に住んでいるがかつてはテキサス州にいてそのことが嫌だというセリフから始まる。彼は少年時代いじめにあうこともあったが、そこに駆けつけたのが家族だった。彼の母ベヴは薬物依存症だった。看護師として働き、姉リンジーらも含め家族を支えてきたが、一方でトラブルだらけで、その度に家族でフォローしてきた。そして十四年が経つ。

 

今やイェール大学に通う青年となったJ,D.だが、やはり生活は厳しく、奨学金やアルバイトでなんとか通っていたものの、次の授業料も厳しかった。たまたま有名法律事務所にインターンの仕事を得る機会を与えられた。そんな時、故郷の姉リンジーから連絡が入る。母がヘロイン過剰摂取で病院に入ったから戻ってきてほしいという。

 

J,D.は最終面接が迫る中、恋人のウジーにも隠して故郷へと向かう。そこに待っていたのはすっかりおちぶれた母ベヴだった。しかも、入院先でも、長く置いとけないと追い出され、施設を探さなければならなくなる。物語は最終面接のために戻らないといけないJ.D.の苦悩と幼き日、彼を支えた祖母マモーウの思い出を交差させながら描いていく。

 

若い頃から依存症だったベヴは、何かにつけJ.D.を苦しめ、そんな彼を助けるため、祖母のマモーウはJ.D.を引き取ることにする。その日の食べ物にも困る祖母の姿を見たJ.D.は一心発起し、バイトを始め勉強に身を入れてみるみる改心していく。

 

やがて、大学にも合格し、母の元を離れたのだが、夢を叶える直前で母の元に戻ったJ.D.は苦しむ。そして面接のために戻る時間が迫ってくる。モーテルに連れて行き、ベッドに寝かせたJ.D.の手をベヴは握るが、戻らないといけないという言葉に、快く送り出す。

 

面接に向かうJ.D.はウジーに電話をし全てを話す。そして、ウジーの部屋の前についたJ.D.は彼女を抱きしめて映画は終わる。実話を元にしているので、ラストも途中も決まっているのですが、さすがにしっかりした役者と一流の監督が撮っただけあって見応えがありました。でもやはり配信ドラマの域を出ていないには残念です。

 

「アイ・キャン・オンリー・イマジン 明日へつなぐ歌」

バート・ミラードというクリスチャンソングのミュージシャンの半生を描いた半分宗教映画ですが、丁寧に描いていく演出で可もなく不可もない素直な感動作でした。監督はアンドリュー・アーウィンとジョン・アーウィン

 

主人公バートがウォークマンを当てて自転車で走るシーンから映画は幕を開ける。時は1985年。彼は庭掃除のバイトをして好きな曲のテープを買い、ガラクタを集めて自分の想像の世界に入るのが好きだったが、父アーサーは何かにつけて暴力を振るう男だった。

 

ある時、キャンプに行くのを勧められたバートはそこでシャノンという少女と知り合う。キャンプから帰ってみると、母は出て行ったとのことで父は引っ越しの準備をしていた。バートは父を恨みながらも父に好かれるべくアメフトを始める。

 

しかし、怪我で続けられなくなった彼はたまたま合唱の単位を取ることにしそこで歌の才能を認められ教会曲を歌うようになる。そして、父の態度に嫌気がさしていた彼は家を飛び出し、たまたまボーカルを探していたバンドに参加するが、みるみる売れていく。

 

バートは音楽で身を立てることを夢見ていて、有名なマネージャースコットに曲を聞いてもらうが、何かが足りないと言われる。しかし、バートの才能を認めたスコットはナッシュビルに招待しそこでレコード会社のプロデューサーに紹介するがコテンパンに言われてしまう。

 

落ち込んだバートは気を取り直すためにバンドを離れ実家に戻ってくる。そこで父アーサーが末期の膵臓癌だと知る。そして、かつての暴力的な男ではなく、改心している姿を見るにつけ、バートはアーサーの世話をすることを決意する。間も無くして父は他界し、そこへバンドのメンバーが戻ってくる。次の会場へ向かうバスの中でバートは父を思って「アイ・キャン・オンリー・イマジン」を作曲、スコットも認める一曲となる。

 

その曲はバートの憧れの歌手に復帰ソングとして使われることになり、その歌手のステージで歌われる直前、バートにバトンが渡されバートらのバンドのデビュー曲となり映画は終わっていく。客席にはシャノンの姿があった。

 

アーウィン兄弟の宗教映画だったが、今回はなかなか出来の良い仕上がりになっていました。