2022-01-01から1年間の記事一覧
「ローカル・ヒーロー 夢に生きた男」 掴みどころのないたわいにない映画なのですが、シンプルなストーリーと、ちょっとお遊びめいた小さな演出が独特の雰囲気を醸し出していて、不思議と愛着が湧く映画でした。監督はビル・フォーサイス。 ポルシェを乗り回…
「ストーリー・オブ・マイ・ワイフ」 久しぶりにセンスの良い知性的な映画に出会いました。まるで夫婦の大河ドラマのような作品で、微に入り細に入った演出と知的なセリフが散りばめられた脚本、そして美しいカメラ映像、不可思議で現実とも非現実とも判断で…
「TANGタング」 なんともテンポの悪いストーリー展開と、登場人物を殺していく雑な脚本、何を見せたいのかわからない物語に、終盤退屈の極みで眠くなってしまった。一体、なんでこんな駄作の極みを作ったのかと思う映画だった。監督は三木孝浩。 近未来、研…
「L.A.コールドケース」 ラッパーのノートリアス・B.I.G射殺事件を扱ったドラマで、実話に基づいたサスペンスなので面白いのですが、いかんせん脚本が悪いのか人物の整理がうまくできていないのとサスペンスの筋立てが整っていないために、この事件の全てを…
「プアン/友だちと呼ばせて」 いい話なんですが、二つの物語がどっちつかずになって、主人公の二人のどちらを追いかけるストーリーなのか掴み切れないままラストシーンを迎えた感じ。典型的なタイ映画の空気感満載の作品でしたが、ちょっと不完全燃焼でした…
「コンビニエンス・ストーリー」 面白い怪談話なのですが、ちょっと監督と役者がチグハグになってしまって、取り留めのない仕上がりになったのは残念。途中何度か眠くなってしまった。特に惠子役の前田敦子がやや役不足、もう少し妖艶な大人の色気を醸し出せ…
「1640日の家族」 思いのほかいい映画でした。物語のテンポが実にいいし、よくあるお話で、ラストも予想できるものなのに引き込まれてしまいました。お母さん役のメアリー・ティエリーの演技が抜群で、ストーリーを牽引していく。一見、わがままな女のようで…
「ノスタルジア」 アンドレイ・タルコフスキー監督の最高傑作と言われている映画を十年ぶりくらいに再見。 今回はようやく最後まで映像を追いかけることができた。時折挿入される夢とも幻想とも思えないモノクロームの主人公アンドレイの故郷の景色が、作品…
「WANDA ワンダ」 1970年代の空気感を、低予算ながら殺伐とした映像表現で淡々と綴っていく作品で、正直、今みれば時代色が強くてやや退屈でさえある。しかし、映像全体から醸し出される何とも言えないムードに、まるで何十年も引き戻されるかのようなバイタ…
「女神の継承」 笑ってしまうほどに怖かった。ドキュメンタリータッチで始まる導入部から前半は、なかなか入り込めないのですが、それがかえって、タイという国柄と神秘的な舞台背景を見事に伝えてくる。そして、その神秘性が、中盤から次第にリアルになって…
「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」 B級映画超大作という空気感で、都合よく展開する安直なストーリーですが、見せ場の連続で二時間半飽きさせないよくできた娯楽映画でした。とにかく面白かった。監督はコリン・トレボロウ。 恐竜被害のニュースが…
「天草四郎時貞」 派手なチャンバラシーンやスペクタクルシーンよりも、終盤に見られる会話劇をその特徴にした異色の時代劇で、その意味で人物関係がほとんど掴めないままラストを迎えるので、正直終盤は退口だった。島原の乱を描いているという知識があるの…
「ゴーストブック おばけずかん」 NHKのお子様向けドラマという感じの映画ですが、白組のVFXが楽しいので、素直に童心に返ってみれました。監督は山崎貴 放課後、どうしても叶えたい願いがある一樹たち三人の小学生は、町外れの祠に願い事をしている場面から…
「海上48hours 悪夢のバカンス」 名作「ジョーズ」を低予算にしただけのなんの工夫もない映画でした。短いのであれだけで見れるというお気楽なB級映画。監督はジェームズ・ナン。 海の中を縫うようなカメラにタイトルがかぶる。夜の浜辺で馬鹿騒ぎをする若者…
「こちらあみ子」 歪に歪んだ映画なのか、やたら長く感じるのはなぜだろうか。ファンタジーであるようで瑞々しさがあるようで、どこかに残酷な暗い現実が見える。その不可思議さが独特の空気感を生み出している映画でした。監督は森井勇佑。 小学校の下校時…
「X」 評判が悪いので期待していなかったのですが、1970年代テイスト満載のカメラワークとカメラアングルを多用して、映画とは光と影であることを徹底した演出がなかなか見応えのある映画で、背後に流れる音楽との融合性の面白さや、ブラウン管テレビで延々…
「日本一短い「母」への手紙」 一流の脚本というのはこういうのを言いますね。シンプルでどこにでもありそうな話なのに、本筋の背景に埋め込んだ伏線が最後の最後まで生きてきます。福井県が企画した母への手紙をモチーフにしたオリジナル作品ですが、エンド…
「ミニオンズ フィーバー」 1970年代テイスト満載な上に、さまざまな映画を取り入れたテンポいい展開がひたすら楽しい。毎回のことだがミニオンがあえて台詞をいろいろ喋らないサイレントコメディタッチの絵がとっても楽しい映画です。監督はカイル・バルダ…
「キャメラを止めるな!」 なんともテンポの悪いリメイクに仕上がった。リメイクというよりそのまんま作ってみたという感じで、なんの工夫もアイデアもないのはどうなんだろうか。オリジナルが持つ面白さも、ユーモアも何もないのはさすがにいただけなかった…
「戦争と女の顔」 細かい演出の隅々が恐ろしいほどにクオリティが高いのですが、いかんせんお話が辛すぎていけません。カメラも美しいし、画面の隅々まで行き渡った映像は素晴らしい。いい映画です、でも辛い。監督はカンテミール・バラーゴフ。 1945年レニ…
「バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー」 アベンジャーズやバットマンのパロディ小ネタ満載なのに、恐ろしいほどに脚本がよくできている。練り込まれた中身とラストへ向かうしっかりとした道筋を貫いて、ラストはじわっと感動させてくれた。この低予算で…
「アデルの恋の物語」 四十年ぶりくらいの再見でしたが、部分部分覚えている場面も多々ありました。イザベル・アジャーニの圧倒的な鬼気迫る演技に引き込まれる映画で、ひたむきというか偏執的な一人の主人公アデルの恋の物語に、異常さより純粋すぎる何かが…
「ビリーバーズ」 エロスとシュールのバランスが悪いために、エロスが目立った結果、原作が本来持っている空気感が薄れてしまった感じで、終盤に向けてどんどんテンポが悪く間伸びしていく。オープニングからしばらくはちょっと面白いのかと思えるのですが、…
「ラストサマーウォーズ」 ほのぼのしたお子様ローカル映画ですが、少ない予算で一生懸命映画を作っている爽やか感満載の作品で、そのひたむきさがとっても気持ちの良い映画でした。監督は宮岡太郎。 小学校最後の夏休みが迫ったある日、教室で、主人公陽太…
「母へ捧げる僕たちのアリア」 意外なほどに良い映画でした。オペラの曲だけでなく散りばめられる音楽のリズムが映画にテンポを生み出しているし、さりげなく温かい兄弟愛が滲み出て来る展開も胸に迫って来る。それでいて、難民だろうか、それとなく描かれる…
「ソー ラブ&サンダー」 ハリウッドは面白い映画を作れなくなったのかと思えるほどに薄っぺらで、テンポも良くないギャグ映画だった。無駄に大作だが仕上がりはB級映画という出来で、一昔前のハリウッド的ギャグを散りばめながら、ストーリーの根幹は適当だ…
「モガディシュ 脱出までの14日間」 オープニングあたりに韓国映画らしい幼稚な演出は見られるものの、本編に入ってからは、かつてのような重苦しいだけの戦闘シーンではなく、映像として楽しめる動きのある画面が作られていて、素直に面白かった。それでい…
「バズ・ライトイヤー」 「トイ・ストーリー」のアンディが大好きだったというバズ・ライトイヤーの映画の物語。過去のSF映画やドラマのシーンや造形をパロディにした作りの面白さは十分あるのですが、ストーリーのテンポがいかにも弱く、キレがないのでダラ…
「ポーラX」 奈落に落ちていく一人の人間のドラマを狂気の如き見事な映像で描ききっていく作品で、とにかくあれよあれよと引き込まれていく演出テンポが見事。一つ一つの画面の構図も美しいし、夜のライトを効果的に使った映像と、バイタリティ溢れる人物表…
「ブラック・フォン」 どこか妙な仕上がりのホラー映画で、ミスリードと伏線がうまく機能していないのと、物語のキーになるグウェンという予知夢のようなものを見る少女が生かしきれていないために、中途半端な仕上がりになったように思います。監督はスコッ…