くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2023-01-01から1年間の記事一覧

映画感想「アンダーカレント」「イコライザー THE FINAL」

「アンダーカレント」 独特の映像リズムで描く極上のミステリー。一人の女性の人間ドラマですが、謎が散りばめられたまま物語が淡々と描かれていく様にいつの間にか引き込まれて、二時間を超えるのに全く退屈しないのは見事。周辺の脇役の存在感もさりげなく…

映画感想「ハント」

「ハント」 フィクションとはいえ、めちゃくちゃな展開の映画でした。二転三転四転するのはいいのですが、鮮やかさがないので、ただ次々と変わるだけとストーリーで、ドンパチ派手な銃撃戦ばかりが目につく映画だった。監督はイ・ジョンジェ。 1980年代の韓…

映画感想「コカイン・ベア」「ルー、パリで生まれた猫」

「コカイン・ベア」 実話をネタにしてやりたい放題に作ったB級ホラーアクション的な一本。適当な展開とグロテスク名シーンの連続はさすがに目を背けるところもあるが、親子の愛情友達との友情という一本筋の通ったストーリー作りは、意外に中身のある仕上が…

映画感想「沈黙の艦隊」「BAD LANDS バッド・ランズ」

「沈黙の艦隊」 稚拙な仕上がりでがっかりするかと思ったけれど、原作がいいということもあるが、程よくまとめて、粗を最小限にした海洋エンターテイメントとして面白かった。まだ連載途中なので、どこで締めくくるかと思ったけれど、原作もテーマをちゃんと…

映画感想「熊は、いない」「ヒッチコックの映画術」

「熊は、いない」 正直、イランの国情などほとんど知識がない。なので、この映画の真価は理解できていないと思います。それは別として、映画作品として単純に実に面白かった。二組のカップルをドキュメンタリータッチで撮影しているかに見せながら、それぞれ…

映画感想「悪魔の追跡」(デジタルリマスター版)

「悪魔の追跡」 典型的なB級アクションホラーという映画で、訳のわからない恐怖が迫ってくるシンプルな展開が素直に面白い。所々、これでもかという細かいカット編集と、ロードムービー的なのどかさが交錯する作りもわかりやすくていい。ラストシーンは衝撃…

映画感想「キリング・オブ・ケネス・チェンバレン」「アリスとテレスのまぼろし工場」

「キリング・オブ・ケネス・チェンバレン」 映画というのは恐ろしいものです。実話ではあるけれど、演出の仕方によって、正義にも悪にも変わってしまう。確かに、この作品で警察は100%悪でケネスが100%正義で弱者であるかに徹底した表現がなされている。しか…

映画感想「女王陛下の007」(4Kレストア版)「007は二度死ぬ」(4Kレストア版)

「女王陛下の007」 ジョージ・レーゼンビーが007を演じた唯一の一本で、このシリーズでは珍しく辛いラストシーンが用意されている。全編雪山というイメージで、冬季オリンピック競技を見ているようなクライマックスは面白いが、全体としてはそれほど出来の良…

映画感想「007/ゴールデン・アイ」(4Kレストア版)「ジョン・ウィック コンセクエンス」

007/ゴールデン・アイ」 流石に面白い。一見ダラダラ進むようだが、シーンごとに派手な見せ場が満載していて、それを追いかけるうちにどんどん引き込まれていくエンターテイメント映画の秀作。面白かった。監督はマーティン・キャンベル。 ロシアの巨大ダム…

映画感想「PERFECT BLUE パーフェクトブルー」「大輪廻」「バーナデット ママは行方不明」

「PERFECT BLUE パーフェクトブルー」 それほど長い作品ではないが、凝縮されたストーリーと工夫された映像展開が見事なアニメーションで、いつのまにか主人公同様に現実と幻想の世界に引きづり込まれてしまいます。さらにラストはちゃんと締め括ってるから…

映画感想「フリーク・オルランド」「ロスト・キング 500年越しの運命」

「フリーク・オルランド」 全くわからなかった。事前に知識を入れていたものの、途中でほとんど自分の理解の域を超えてしまった、どこがどう繋がるのか、どう解釈するのかどうしようもなくなりました。確かに色彩やシュールな演出の面白さはわかるのですが、…

映画感想「アル中女の肖像」「私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター」

「アル中女の肖像」 特に物語があるわけではないけれど、一人の裕福で美しい、しかもアル中の女の目眩く物語が美しい映像とカメラワーク、色彩演出で描かれる様が楽しい映画でした。監督はウルリケ・オッティンガー。 一人の女性がベルリン行きの航空チケッ…

映画感想「空山霊雨」(デジタル修復版)

「空山霊雨」 なんとも間延びした映画で、同じエピソードをひたすら繰り返しながら、さらに寺や道中の描写が延々と続く演出には閉口してしまいました。クライマックスの森での戦いは監督らしさが出ているとはいえ、ストーリー展開の面白さはほとんど感じなか…

映画感想「ダンサーインParis」「名探偵ポワロ ベネチアの亡霊」

「ダンサーインParis」 期待以上にとっても素敵な映画でした。空間の使い方が抜群に上手いし、登場するそれぞれが本物のプロに装いを帯びていて、しかも映像を操るセンスの良さか、画面が透き通っている。ありきたりの物語ではなく、ありきたりの悪人が出て…

映画感想「グランツーリスモ」「ミステリーと言う勿れ」

「グランツーリスモ」 レースシーンを徹底的に描いたシンプルな物語がとにかく面白い。実写だけではないのだろうが、迫真のレースシーンが次々と登場し、さらに終盤に向けての盛り上がりとドラマティックな展開もちゃんと描かれている。実話というリアリティ…

映画感想「ほつれる」「シブがき隊 ボーイズ&ガールズ」「の・ようなもの」(秋吉久美子版)

「ほつれる」 なんともめんどくさい映画だった。遠回しにしか会話をしない文則、潔さのない綿子、そして、どう物語に関わるのかわからない脇役の面々、小道具である指輪もどこか適当感があって弱い。男と女の微妙な心の交わりとすれ違いを自分なりの解釈がま…

映画感想「6月0日 アイヒマンが処刑された日 」「ヒンターラント 」

「6月0日アイヒマンが処刑された日」 期待していなかったのですが、意外に面白い作品でした。少々テクニックに走った部分もないわけではない絵作りですが、重苦しくなく程よいコミカルさを交えた演出は、素直に楽しめました。監督はジェイク・パルトロウ。 1…

映画感想「禁じられた遊び」(中田秀夫監督版)「ドラキュラ デメテル号最期の航海」

「禁じられた遊び」 まあ、この程度の映画だろうと思ったそのまんまの映画でした。今更この程度では怖くないし、原作が弱いのだろうが、謎解きのサスペンスもないし、かなり無理のあるホラーテイストと下手くそな脚本は結局演出力でもカバーしきれない出来上…

映画感想「ウェルカムトゥダリ」「私たちの声」

「ウエルカムトゥダリ」 映画に迫力がない。稀代の奇人で天才画家のドラマにも関わらず、ダリが普通の男に見えてしまう。演出が悪いのか演技が悪いのかわからないけれど、普通の映画という感じの一本でした。監督はメアリー・ハロン。 1985年、サルバドール…

映画感想「福田村事件」「緑のざわめき」

「福田村事件」 非常にクオリティの高い作品、演出も力強いし、作劇、展開のリズムも上手い。役者の使い方も見事なのですが、なぜこれほど嫌悪感に苛まれるのか。一方的な偏見が根底にあるゆえ、史実を描いているにも関わらず、差別偏見に対するどこか偏って…

映画感想「アステロイド・シティ」「あしたの少女」

「アステロイド・シティ」 独特の色彩感覚と軽妙な音楽、そしてありえない不条理劇を展開させる手腕は今回も炸裂、とにかく、訳がわからないけれど楽しい。監督はウェス・アンダーソン。まさに彼の世界でした。 劇作家のコンラッドが、これから舞台を完成さ…

映画感想「スウィート・マイホーム」「兎たちの暴走」「骨」「オオカミの家」

「スウィート・マイホーム」 面白いお話なのですが、脚本が弱いのと、演出に映像センスの光るものがなくミスリードもインパクトがないところへ、意味のない終盤のクローズアップは、流石に映像演出のセンスのなさが見えてしまった。もう一捻り、面白くテンポ…

映画感想「エクソシスト」(ディレクターズカット版)「こんにちは、母さん」

「エクソシスト」 ほぼ50年ぶりの再見、それなりに目も肥えてきてるつもりですが、やはりこの映画は名作だと改めて感じました。シーン編集のテンポが実に上手いし、次第にじわじわ盛り上がってくる展開も並のホラーと一線を画す感じです。細かいシーンやセリ…

映画感想「春に散る」「#ミトヤマネ」「MEG ザ・モンスターズ2」

「春に散る」 決して出来のいい映画ではないのですが、素直に良かった。導入部分は今ひとつ精彩にかけるのですが、少しづつ良くなってくる。ボクシングシーンが抜群に良いし、役者がとにかく素晴らしい。これだけボクシングができる役者を揃えたことがまず成…

映画感想「Gメン」「ファルコン・レイク」

「Gメン」 原作が面白いのだろうが、結構楽しめました。演技ができない役者がほとんどということで細かい編集で誤魔化したのも、かえってそれなりにテンポ良くなって楽しかった。せっかくの芸達者の脇役が生きていないのと、下手な脚本は少し勿体無いのです…

映画感想「アウシュヴィッツの生還者」「メルビンとハワード」

「アウシュヴィッツの生還者」 良質の映画なのですが、脚本がよくないのか、ストーリーに焦点が定まっていなくて、エピソードの羅列で淡々と描かれ、しかも過去と現代を繰り返す構成で非常に長く感じられてしまった。実話を元にしているのですが、いいお話な…

映画感想「君は行く先を知らない」「卒業 Tell the World I Love You」「高野豆腐店の春」

「君は行く先を知らない」 イランという国がわかっていないからわからないのか、表現演出が未熟な映画だからわからないのかなんともおかしな作品だった。全ての謎が結局明かされないし、奇抜なシーンや美的なシーンを次々と挿入してくるのですが、それが物語…

映画感想「カールじいさんのデート」「マイ・エレメント」「エリザベート1878」

「カールじいさんのデート」 アカデミー賞をとった「カールじいさんの空飛ぶ家」の後日談の短編。監督はボブ・ピーターソン。 カールじいさんと愛犬のダグ、今やダグも老犬である。そこへカールじいさんはマイヤーさんからデートに誘われる。亡き妻に申し訳…

映画感想「ふたりのマエストロ」「フリック」

「ふたりのマエストロ」 アカデミー外国語映画賞ノミネートされたイスラエル映画「フットノート」の設定変更のリメイク。オーケストラ指揮者という設定に変更したのは良いが、映画的なビジュアルのためだけを目指した素人アイデアの焼き直し映画で、クローズ…

映画感想「アルゴ探検隊の大冒険」「ブギーマン」

「アルゴ探検隊の大冒険」 レイ・ハリーハウゼンの特殊撮影が有名な一本、学生時代以来のスクリーン鑑賞。物語はかなり荒っぽいが、特撮場面は今見ても目を見張るほどに面白い。特撮は決してスムーズに動けば良いものではないというのを証明したような映画で…