くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「MEN 同じ顔の男たち」「ラーゲリより愛を込めて」

「MEN 同じ顔の男たち」 さすがA24、とんでもないファンタジーホラーでした。とにかく、画面が抜群に美しい。ロンドンの室内のオレンジ、郊外の邸宅の室内の赤、そして森の緑、目が覚めるほどの色彩に目を奪われます。しかしながら、その不思議なファンタジ…

映画感想「空の穴」「ブラックアダム」

「空の穴」 北海道でドライブイン食堂を営む不器用な三十過ぎの男の一時の物語を淡々と描く一本で、たいそうなドラマも展開するわけでもないが、カメラが素朴でなかなか良い。監督は熊切和嘉。 一人の女性妙子のアップから、彼氏がこの辺りで食事できるとこ…

映画感想「恋におちたシェイクスピア」「月の満ち欠け」

「恋におちたシェイクスピア」 ロードショー公開以来の再見、ほぼ二十年ぶりです。公開当時はこの映画の本当の良さをわかっていなかったみたいです。こんなに素晴らしい映画だったのかと改めて圧倒されてしまいました。出だしからラストまで一瞬の隙もなく描…

映画感想「二十歳の微熱」「あのこと」

「二十歳の微熱」 定点フィックスの長回しを繰り返す映像演出で、次第に語りたいメッセージが見えてくる展開が実に良くできています。冒頭からブレずにラストへ流れる一貫性は評価できる一本で、人を好きになること、男女区別なく親しくなることの本質を考え…

映画感想「マッドゴッド」「冬の旅」

「マッドゴッド」 「ジュラシック・パーク」の出現で、CGの時代への変化を感じたため制作を中断、その後、当時のセットを発見した若手の呼びかけで再始動して、構想から三十年を経て完成したストップアニメーション。ストップアニメではあるがかなりグロテス…

映画感想「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」

「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」 いい映画でした。水彩画のような素朴な色調の画面とスタンダードのフレームで、不思議なレトロ感を生み出し、主人公ルイスを演じたベネディクト・カンバーバッチのコミカルな演技が映画をとっても個性的なものに仕…

映画感想「バルド、偽りの記憶と一握りの真実」「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」

「バルド、偽りの記憶と一握りの真実」 撮影監督のダリウス・コンジが65ミリフィルムで撮影した映像が素晴らしいという友人の感想で京都まで見にきた。広角レンズと長回し、そして縦横無尽に移動するカメラワークで描かれる現実と夢を行き来する映像世界を堪…

映画感想「黒い牡牛」(レストア版)「シスター 夏のわかれ道」

「黒い牡牛」 ダルトン・トランボがロバート・リッチの偽名で原案を書き、アカデミー賞原案賞を獲得した作品。なるほど、名編です。物語の構成はこうして組み立てる物だというお手本のような見事なストーリー展開で、クライマックスの闘牛シーンは圧巻で、こ…

映画感想「ストレンジ・ワールド もうひとつの世界」「キッチン」「悲しい色やねん」

「ストレンジ・ワールド もうひとつの世界」 さすがディズニーアニメというほど、造形や色彩美術は抜群に美しいのですが、どこか初期の宮崎アニメを思わせるように感じたのは私だけでしょうか。ストーリー的には非常に普通だし、ディズニーらしい夢と冒険、…

映画感想「母性」「グリーン・ナイト」

「母性」 これはなかなかの映画だった。いや、ある意味傑作かもしれない。まるで「白雪姫」や「シンデレラ」のようなお伽話の世界観で描いていく、女性の母性のついての不可思議な寓話。ほとんど人間的な感情が存在しないかで展開する本編に、さすが湊かなえ…

映画感想「それから」「ライブイン・茅ヶ崎」「やまぶき」

「それから」 ロードショー以来の再見。やはり傑作です。レトロであってモダン、ラブストーリーであってサスペンス、独特の映像感性で綴る夏目漱石の世界は素晴らしい。監督は森田芳光。これぞ森田の世界。 主人公代助が寝間で起き上がる。カメラがゆっくり…

映画感想「桜色の風が咲く」「宮松と山下」「ミセス・ハリス、パリへ行く」

「桜色の風が咲く」 世界で初めて盲ろう者の大学教授となった東京大学先端科学技術センター教授福島智さんと母令子さんの物語。評判がいいので見に行ったが、普通の作品だった。特に前半、大手病院の横柄な医師や、役立たずな父親の描写などあまりのありきた…

映画感想「ある男」

「ある男」 物語がどんどん闇の奥へ沈んでいく、あまりに奥の深い作品。名前というものの無意味さ、過去を変えられない残酷さ、そんな人生のどうしようもない一点に集中的に目を向けて行く展開が実に辛い。しかも、エピソードの配分がちょっと悪く、平坦すぎ…

映画感想「ザリガニの鳴くところ」

「ザリガニの鳴くところ」 ベストセラー小説の映画化と、鳴物入りの宣伝文句もあり、期待して観に行ったのですが、そこまで騒ぐほどの出来栄えではなかった。原作が映像として昇華仕切れていないのだろうと思います。でも、映画としてはそこそこに良質のいい…

映画感想「サイレント・ナイト」「ファイブ・デビルズ」「ザ・メニュー」

「サイレント・ナイト」 緊張感あふれるサスペンスというより、どこかブラックユーモア的な作品でした。毒ガスが迫ってきて、世界中の人間が死を覚悟し、安楽死のためのピルを飲んで最期を迎えるまでのジタバタを、恐怖だけでなく、生に執着する姿を描いた感…

映画感想「奈落のマイホーム」「すずめの戸締まり」

「奈落のマイホーム」 ハリウッド大作などとても作れないという割り切りから、アイデア勝負で完成させた娯楽映画の痛快作品でした。冒頭の十分は例によって韓国映画らしい稚拙さで始まるので我慢しないといけないながらも、本編の話になだれ込むとそれなりに…

映画感想「ドント・ウォーリー・ダーリン」「わたしのお母さん」

「ドント・ウォーリー・ダーリン」 いわゆる不条理劇かと思いきや、まさに今最先端のメタバースの世界を巧みにメッセージ発信のために使った、やや知識を見せびらかすような作品。それは難解であるからではなくて、埋め込んだメッセージを隠そうともせず、そ…

映画感想「あちらにいる鬼」「土を喰らう十二ヶ月」「恋人はアンバー」

「あちらにいる鬼」 とってもいい映画です。大人の恋を淡々と静かに描く筆致がとっても心に迫って来る感じですが、後、ほんの少しスパイスというか鬼気迫る一瞬があっても良かったかもしれない。笙子を演じた広末涼子がとっても良い形で映画を牽引しています…

映画感想「ディア・ハンター」(4Kデジタル修復版)「ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」

「ディア・ハンター」 午前十時の映画祭、三回目の鑑賞ですが、やはり名作ですね。ビルモス・ジグモンドの美しいカメラも絶品ですが、登場人物それぞれが見事に描き分けられているし、反戦映画ではあるものの、青春映画としての側面もさりげなく画面から漂っ…

映画感想「RRR」「人生は二度とない」

「RRR」 本来はもっと長い作品なのだろう。相当にカットしてあるようで、おいおいと思うシーンの展開が散見されるので、ストーリー構成がアンバランスだし、主人公となる中心人物の物語が、あっちこっちに転がるのは如何ともし難い。クオリティよりも娯楽と…

映画感想「窓辺にて」「鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽」

「窓辺にて」 これは良かった。まるで、透明なガラスの上に貼られた一本の絹糸の上を歩いていくような研ぎ澄まされた繊細さに彩られたセリフの数々、そしてそのセリフをまるで協奏曲のごとく紡いでいく映像演出、そしてそのリズムに引き込まれる映画でした。…

映画感想「新宿馬鹿物語」「パラレル・マザーズ」「ヒューマン・ボイス」

「新宿馬鹿物語」 可もなく不可もない、たわいない人情コメディで、新宿歌舞伎町のバーで繰り広げられるてんこ盛りのエピソードが芸達者な役者たちによって淡々と展開する様は実に面白い。監督は渡辺裕介、脚本は神代辰巳。 第二次大戦開始間も無くの時代、…

映画感想「チケット・トゥ・パラダイス」「狂った一頁」(サイレント版79分版)「十字路」『衣笠貞之助監督版 87分英語字幕版)

「チケット・トゥ・パラダイス」 思いの外いい映画でした。アメリカ映画らしい陽気で明るいラブコメディという感じで、ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツの熟年の魅力が等身大に描かれていてとってもいい感じになっているし、小さなトラブルを絶妙の…

映画感想「薮の中の黒猫」「喜劇 男の泣きどころ」「喜劇 女の泣きどころ」

「薮の中の黒猫」 終盤がちょっと間延びして行く上に、ストーリーが、前半の展開、中盤の展開、終盤の展開と一貫性が崩れていく流れが気になる映画でした。特にクライマックスはただの怪談映画で終わった感がある。監督は新藤兼人ですが、ちょっと出来は良く…

映画感想「おっぱいとお月さま」「グッド・ナース」

「おっぱいとお月さま」 これといって秀でた作品ではないですが、音楽がなかなか心地よい映画でした。ちょっと変態的な子供と変質的な青年、変態女という奇妙な三角恋愛ドラマがなんとも奇妙なファンタジー作品。監督はビガス・ルナ。 村のお祭りでしょうか…

映画感想「魅せられて」「貞子DX」

「魅せられて」 初公開以来の再見。監督はベルナルド・ベルトルッチですが、彼の作品としては中の下くらいの出来栄えで、初めて見た時もそれほど印象に残っていませんでしたが、今回もそれほど感銘しませんでした。どちらかと言うとリヴ・タイラーのスター映…

映画感想「アムステルダム」「天間荘の三姉妹」

「アムステルダム」 確かに面白い。歴史の史実をベースにした作品で、どこまでが史実でどこまでがフィクションかと思わせるが、非常に入り組んだ作劇になっているので油断するとついていけなくなる上に、同じ重要度を持った登場人物が目白押しに出てくるので…

映画感想「われ幻の魚を見たり」「赤西蠣太」「国士無双」

「われ幻の魚を見たり」 明治時代、十和田湖で鱒の養殖に成功した和井内貞行という人物の半生を描いたいわゆる偉人もので、監督は伊藤大輔ですが、ちょっと場違いなジャンルだった感じで、どこかギクシャクしていました。それでも、こういう人物がいたという…

映画感想「百合の雨音」「殺し屋たちの挽歌」

「百合の雨音」 ROMAN PORNO NOWの三本目。目眩く女同士の恋物語を、映像を駆使して描いた小品と追う感じの映画。可もなく不可もなしの仕上がりはちょっと物足りないのですが、ロマン・ポルノらしいラブストーリーという感じの作品でした。監督は金子修介。 …

映画感想「夜明けまでバス停で」「アフター・ヤン」「線は、僕を描く」

「夜明けまでバス停で」 どこか掴みどころのない、消化しきれない映画でした。一昔前のエピソードの展開とキャラクター設定がわざとなのかと思っていたが、結局最後まで意図はわからなかった。コロナ禍の世界で何を描きたかった?という感じの作品。監督は高…